検索窓
今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:52,390 hit

優しいぬくもり ページ17

.









「 さっきから、いいや会った時からずっーと無表情だ。どこか痛いのか? 」

「 ……その、知り合いの人に迷惑をかけてるなって自己嫌悪です。」



ざわざわと騒めく煩さを実感しながら、自己嫌悪という言葉を吐き出した。




「 人見知りで、誰と何をどう話せばいいか、さっぱり分からないんです。」
「 新しい場所でも、そのせいで浮いてて。」



浮いている。その事実を口に出すと、改めてそうなんだと実感する。







「 じゃあ、ずっと独りなのか? 」

「 いえ、ずっと独りじゃないです。」






伊作くんがいてくれたから。前にいた世界では、友達やあの人が助けてくれたから。じゃあ、この時代では……。



「 ……伊作くんがいてくれるから、私は大丈夫なんだ。」

「 そう思うんなら、僕の足音だけで僕だと気付いて。」



聞き慣れた声に顔を上げると、伊作くんが眉を下げて口元は怒りながら、私の腕を掴んだ。



「 心配したんだよっ? 伏木蔵が気づかなかったら、きみが何処で迷子になったさえ分からなかったんだから。」

「 ごめんなさい。」



頭を下げると、ため息が聞こえて、行くよと声を掛けられた。お爺さんの方を振り向くと、少し寂しそうな顔をしていた。



「 あの、また来てもいいですか? 」

「 じゃあ、約束だ。」



手を伸ばして握ると、お爺さんは驚いたように目を丸くして私の手を握り返した。

伊作くんたちの後を急いで追いつくと、ある薬草屋さんについた。薬草を売って、お金にして保健委員会の活動の資金にする。



「 何を買ったんですか…? 」


伏木蔵くんが小さな声で囁いた。



「 花瓶を買ったの。ありがとう、私がいないのに気付いてくれて。」

「 伊作先輩が、ずっと貴女の事を気にしていたんです。だから、自然に僕も気にしちゃって…。」



腰を下ろして、更にお話ししやすい体制を取った。



「 僕、Aさんのお薬を調合する練習してるんです。」

「 そうなの? 」

「 うふふ、伊作先輩直伝のお薬だから、病気だって治るはずですよ。」



伊作くんは、私の火傷の話をしていないらしく、伏木蔵くんは私が何らかの病気だと考えている。



「 ……やっぱり、Aさんはみんなが言う悪い人じゃないですね。優しいし、なんか…、お母さんみたいです。」



そのまま、すりっと擦り寄られて手を握られる。優しい暖かさが胸に広がった。









.

避けられてるから→←お買い物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (90 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
121人がお気に入り
設定タグ:忍たま乱太郎 , 忍たま , 天女
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チョコパイ - 続き気になる、更新待ってます! (2021年4月28日 4時) (レス) id: 451b0d7f40 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - とても面白いです!!読みやすいし!!!応援しています!! (2021年1月5日 12時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
NARUTOKUN(プロフ) - ふうちゃんさん» いいえっ、いくらでも感想下さい笑笑。私の元気の源はですよー!! (2018年12月25日 23時) (レス) id: 371427a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん - なんかコメント多くてすみません!伊作くんとのハッピーエンド楽しみにしてます、これからも頑張ってください! (2018年12月20日 20時) (レス) id: bc1f7a9f27 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - ふうちゃんさん» コメント、何回もして下さってありがとうございますっ。精一杯最後まで書ききって伊作と幸せ者にしてあげたいです!! (2018年12月2日 0時) (レス) id: 4c755f6345 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:チキンカツ x他1人 | 作成日時:2018年11月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。