お出かけ ページ14
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今日はお仕事はお休みだ。布団を閉まって、改めて部屋を見回すと、殺風景に感じた。何でもいいから、色をつけたい。うーんと考えていると、スパンッと音を立てて襖が開いた。伊作くんが忍たま服を脱いで、私服を着ている。背中には大きな籠を背負って。
「 これから、保健委員会の薬草を摘みに行くから。これに着替えて、一緒に行かない? 」
「 いいの? 」
伊作くんに恩返しがしたいと熱く語ってしまい、その夜は興奮して中々眠れなかった。欠伸をしながら、急いで着替えて、部屋の外に出ると小さな子が二人。
「 僕の後輩、猪名寺乱太郎と鶴町伏木蔵だよ。」
「 「 こんにちは…。」」
「 こんにちは。」
「 そして、僕と同室の食満留三郎!! 」
伊作くんと同じ背丈の男の子が、伊作くんの後ろから現れた。体格がよくて、よくトレーニングしてるんだと一瞬で分かった。
「 よしっ、じゃあ行こうか。」
「 ちょっ、ちょっと待って。私、学園の外に出てもいいの? それに一年生とは、」
「 平気だよ、許可はもらってるから。」
食満くんはパッと見ただけでも、鍛えているんだなぁと分かるくらいの筋肉がある。ほかの一年生の子達は、まだまだ子供。見ていてとても微笑ましくて、仲良くしてみたいけど目を見てくれない。それに、息が苦しくなる時がある。こんな状態で、お手伝いしていいのかな? というより、これが恩返しになるのかな。もっと、大きな恩返しがしたい。まだ、その大きさに検討をつけてないけれど。
「 A? 着いたよ…? おーーい? 」
ハッとすると、無意識で伊作くんに着いていったのが良かったのか、タンポポ畑のような原っぱについた。
「 何をぼっーとしてたの?」
「 うんん、気にしないで。これを摘めばいいんだね? 」
みんなから少し離れた所で、黙々と摘む。やっぱり先輩と摘むのは楽しいのか、一年生の乱太郎くんや伏木蔵くんは喜んでいる。それに反して私は、こんな楽しい状況とは真反対の事を考える。
「 ……そういえば、平成のあの人のお墓はどうなってるんだろう? 」
タンポポのような花を見て、あの人がタンポポを大好きだったのを思い出した。その時、フッといいアイデアが浮かんだ。あの部屋に仏壇用の一輪挿しを挿そう。きっと、少しは明るくなるはず。
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チョコパイ - 続き気になる、更新待ってます! (2021年4月28日 4時) (レス) id: 451b0d7f40 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - とても面白いです!!読みやすいし!!!応援しています!! (2021年1月5日 12時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
NARUTOKUN(プロフ) - ふうちゃんさん» いいえっ、いくらでも感想下さい笑笑。私の元気の源はですよー!! (2018年12月25日 23時) (レス) id: 371427a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん - なんかコメント多くてすみません!伊作くんとのハッピーエンド楽しみにしてます、これからも頑張ってください! (2018年12月20日 20時) (レス) id: bc1f7a9f27 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - ふうちゃんさん» コメント、何回もして下さってありがとうございますっ。精一杯最後まで書ききって伊作と幸せ者にしてあげたいです!! (2018年12月2日 0時) (レス) id: 4c755f6345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チキンカツ x他1人 | 作成日時:2018年11月3日 23時