蛙の子は蛙 ページ13
.伊作side
「 伊作、お前は天女ばかりといるが平気なのか？」
僕の部屋に六年生が集まる、六年生だけの会議。いつもは実習などの話が多いんだけど、今日は違う。僕が此処に閉じ込めた天女様の話だ。留三郎はもちろん、他の六年生も怪訝そうな顔をしていた。最初に口を開いたのは、意外にも長次だった。
「 何もしないし、下級生の忍たま達は天女を全く見ないと言っている。」
「 下級生はおろか、四年生や五年生とも関わりあわないようだな。」
仙蔵が唸るように吐き出した言葉には、何となく悔しさが混じっているような気がする。イライラするように文次郎が拳で膝を叩く。
「 何を考えてるんだ！？ 今までと全くの別人じゃないか！？ 」
「 それには俺も同意見だ。存在感もないし、必要以上に忍術学園をうろついていない。」
留三郎も不思議そうに呟いた。
「 それでも天女は天女だ、なぁ、伊作？ 」
小平太の冷たい笑顔に、部屋が一瞬で静まり返った。
「 蛙の子は蛙、かぁ…。確かに小平太の言う通り、そうかもしれないね？ でもね、否定させてもらうよ。」
瞬きをすると、瞼の裏にいるのは寂しそうな背中だけ。半身に火傷と傷痕を覆い、呪いのように蝕んでいる体を、壊れ物を扱うように撫でる天女。いいや、天女なんて呼ぶ必要はないかな。
「 普通の女の子だったよ。僕の見解はそれだけだ。だからね、小平太。」
この時代に来る前に、僕が出会う前に何をしていたの？何を見ていたの？ 僕の知らない横顔で、誰を愛していたの？
「 蛙の子は蛙なんて言わせないよ。保健委員長として。彼女を忍術学園に閉じ込めた張本人としてね。」
「 ……ほぅ？ うちの金吾や三之助が何をされたか知ってて言ってるのか？ 」
「 蛙の子は蛙なんて言わせないよ。二度も言わせないでくれ。」
「 落ち着けっ、二人とも！！ 」
長次が小平太を、留三郎は僕を止めてくれた。
「 …伊作、お前は天女のことが好きなのか？ 」
「 …さぁね。」
「 おいっ！？！ 」
留三郎は驚いたように僕の肩を掴んだ。
「 僕がたとえ彼女を想ったとしても、眼中にないよ。此処の忍たま達なんて、子供としてしか扱ってない。」
昨日の夜も、あんなに肌が触れ合う距離だったのに。何一つ警戒をしていなかった。その現実が、唐突に蘇って僕の心をぐらぐらと揺さぶるように、虚しく揺れた。
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チョコパイ - 続き気になる、更新待ってます! (2021年4月28日 4時) (
レス) id: 451b0d7f40 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - とても面白いです！！読みやすいし！！！応援しています！！ (2021年1月5日 12時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
NARUTOKUN(プロフ) - ふうちゃんさん» いいえっ、いくらでも感想下さい笑笑。私の元気の源はですよー！！ (2018年12月25日 23時) (レス) id: 371427a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん - なんかコメント多くてすみません！伊作くんとのハッピーエンド楽しみにしてます、これからも頑張ってください！ (2018年12月20日 20時) (レス) id: bc1f7a9f27 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - ふうちゃんさん» コメント、何回もして下さってありがとうございますっ。精一杯最後まで書ききって伊作と幸せ者にしてあげたいです！！ (2018年12月2日 0時) (レス) id: 4c755f6345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チキンカツ x他1人 | 作成日時：2018年11月3日 23時
