滑稽な天女様 ページ2
.
薪の量、火の扱いは難しい。忍術学園に住まわせてもらって、初めての仕事は食堂のお手伝い。おばちゃんのお手伝いとして、先ずは火加減を覚えることからだった。便利なIHは数字で温度調整をしてくれるけど、かまどは簡単にはいかない。
「 熱い…。」
「 こまめ水も飲んでね、倒れちゃうから。」
「 はい。」
でも、火の扱いに夢中になってると、おばちゃんがやれやれと言いながら、お水をくれる。
「 無茶や夢中になりすぎるのは駄目よ、周りが見えなくなるからね。」
忍術学園で、平等に接してくれる数少ない人物の人だ。鐘がなってから、十五分。そろそろ、忍たま達が朝ご飯を食べにくる。顔を合わせないように、厨房の奥へ引っ込める。
野菜の皮を袋に詰めて、食堂の裏口に置く。これは、生物委員会の餌でこっちは肥料。頭の中で整理しながら、仕事をしていく。忍術学園で働く条件の一つで、忍たま達と必要以上に顔を合わせないこと。
「 Aちゃーん、朝ご飯食べなさーい!! また食べるの忘れてるでしょー!! 」
「 はっ、はぃ!! 」
慌てて食堂に駆け込む。おばちゃんはプンプンと怒りながら、私に朝ご飯が載ってあるお盆を渡した。おばちゃんは、初めて出会った時に、先ず食堂のご飯を食べさせてくれた。
『 …痩せてるわねぇ、平成の人はどうなってるのよ。』
そう言いながら、私の短いショートボブを梳かすための櫛もくれた。私の短い髪は目立つらしく、今は伸ばしてる状態。お味噌汁を飲んでると、いつも同じタイミングでやってくる子がいる。
「 八左衛門、寝癖直ってないぞ。」
「 えぇー…、いいよ別に。」
「 タカ丸さんにグダグダ言われるぞ。」
五年生の尾浜勘右衛門くんや竹谷八左衛門くんがやってきた。名前を覚えられるか不安だったけど、名札がない代わりに、忍び服の色で学年を分けてる。
……多分、見張られてるんだろうな。
お腹が少し痛くなってきた、早く食べて切り上げよう。ヘムヘムちゃんと、校門の前の落ち葉を掃いて掃除することになってる。体に突き刺さる五人の視線を感じながら、思わず火傷の跡を掻いてしまった。
「 …今回の天女は本当に大人しいな。」
「 なぁに、直ぐに化けの皮が剥がれるさ。」
そんな会話に気がつかないまま、愛しい人を想う私は滑稽だろうか。
.
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコパイ - 続き気になる、更新待ってます! (2021年4月28日 4時) (レス) id: 451b0d7f40 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - とても面白いです!!読みやすいし!!!応援しています!! (2021年1月5日 12時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
NARUTOKUN(プロフ) - ふうちゃんさん» いいえっ、いくらでも感想下さい笑笑。私の元気の源はですよー!! (2018年12月25日 23時) (レス) id: 371427a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん - なんかコメント多くてすみません!伊作くんとのハッピーエンド楽しみにしてます、これからも頑張ってください! (2018年12月20日 20時) (レス) id: bc1f7a9f27 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - ふうちゃんさん» コメント、何回もして下さってありがとうございますっ。精一杯最後まで書ききって伊作と幸せ者にしてあげたいです!! (2018年12月2日 0時) (レス) id: 4c755f6345 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チキンカツ x他1人 | 作成日時:2018年11月3日 23時