二人だけの秘密の冒険＿＊2 ページ7
「ギリシア神話か…エジプト神話の次に好きな神話だ」
静かな図書館にアルアの真剣な声だけがこだまする。
私たちは大きなステンドグラスから差し込む朝日の下で大きな本を二人で囲むようにしてみている。
「そうなの！？ギリシア神話のどんなところが好き？」
アルアの好きなものがまた一つ知れて嬉しくなる。
つい興奮して食い気味に質問を投げかけてしまった。
これにはアルアも…あれ？すごく…嬉しそう！
「俺はやっぱり有名なポセイドンの話が好きでね！彼はとってもすごいんだ！」
「ぽせいどん…？強いの？」
『ポセイドン』と書かれた挿絵にはとても何がすごいか想像できないがひげを生やしたおじいさんが描かれていた。
アルアがこんなにも興奮するほどの人なんだろうか。
「ああ！それはもうとても強い神で、彼はトリアイナという三叉槍を武器に嵐や津波を容易に引き起こして大陸をも沈ませ、万物を木端微塵にしてしまう力で大陸と大海を自在に支配したんだ！」
「強い神に強い武器…！！」
さっきまで冴えないひげの生えたおじいさんにしか見えなかったが、アルアの話を聞いたとたんにものすごく輝いて見えた。
アルアに名付けてもらった『セクメト』もとても強い神だと聞いた。”名前がなかった”私に「強い女性に育つように」とアルアがつけてくれたエジプト神話の戦闘の女神の名をつけてくれた。
＿＿＿あの時はまだどんな文字も読めなかったが、アルアとこっそりここに通うたびに頑張って読めるように大好きな神話集を使って勉強している。
そうして神話集に出てくる強い神について聞いて、アルアと熱い会話を交わして、勉強して、おじいちゃんが起きる前に何事もなかったかのように帰る。
「今日はポセイドンの話ばかりになってすまない！次来たときはもっと色々な神の話もしよう！」
「やったぁ！」
今日もアルアの「神の豆知識」が面白かったなあ。いつもアルアは好きな神の話についてはとても興奮しながら丁寧に解説してくれる。私はそんなアルアの話が好きだ。いつも自然に聞き入ってしまうんだ。
今度のアルアとの秘密の冒険がもう楽しみだなぁ！
静かな山を二人で手をつないで下りながらもう次回のことを考えて帰った。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＊作者より
こんにちは！てぃ菌です。
更新のスパン短めで感動しております。
今回、Aが異常に”強い”というワードに触れてますね。
『ギリシア』の誤字を修正しました。12/17
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作者名：てぃ菌 | 作成日時：2019年3月7日 21時
