初恋、芽生えて結ばれる。【時透無一郎】

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Aside



気が付くと、私は草原に寝転がっていた。










A「あ、あれ？ここ、どこだっけ？」











遠くから誰かの笑い声が聞こえてきた。











その声はだんだんこちらへ向かってきて、人影が見えた。












A「お母さん…お父さん…友紀…」










鬼に襲われて、亡くなった両親と兄だった。












A「お母さん！お父さん！友紀！」














母「あら、A。久しぶりね。」












A「会いたかった、会いたかったよお！！」












父「どうしたんだ？そんなに泣いて…」












兄「ホント、お前は泣き虫だからなぁ。」














A「だって！だって！家に帰ったら３人が血まみれで倒れてて…！」














母「ほらほら、そんな泣いちゃ、Aの可愛い顔が台無しでしょ？」











お母さんは私の涙を、着物の裾で拭ってくれた。










久しぶりに出会った家族、あったかい。











私はもう、ずっとここにいる…。













A「今からみんなでどこ行くの？私もこれからはついてっていいでしょ？」











父「お前はまだだ、A。」












母「元来た場所へ戻りなさい。」











A「えっ、どうしてそんなこと言うの？」









普段、優しく微笑みかけてくれていた両親が、少し冷たかった。












父「何のためにあの鬼を倒したんだ？」












母「生きて帰って、ある人に会うためじゃないの？」










ある…人…











兄「まさか、お前に好きな男ができるなんてな！」












好きな人…








そうだった。


















…無一郎君。



















もしかしたら、もう依鈴ちゃんとお付き合いしているかもしれない。











だけど、私…











だから、この想い、伝えたい…











好きだって、言いたい…。











A「ありがとう、３人とも。私、あっちに帰る。みんなと同じくらい、大好きな人がいるから。」











父「ふっ、大人になったなぁ、A。」









母「ホント、私の自慢の娘だわ。」








兄「A、頑張れよ！！」



















A「うん、バイバイ！！」

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