元彼と再会した。【松野千冬】【佐野万次郎】

26話 ページ28

『やめて、…やめて、万次郎』


私が弱々しく静止するも、万次郎はさらに金髪の少年を殴る。


…でも、

金髪の少年は、諦めていなかった。


タケミチ「────────Aを語るな？





まだ生きてんだぞAちゃんは！！！！」



『…っ！』


私は思わず目を見開く。

…そうだ、私はまだ生きてる。


…でも、



視界が、もう、はっきりしなくて。



あ、ごめん、万次郎、無理だ。









────────私は小さな音を立てて、地面に倒れ込んだ。



、、


タケミチside


…Aちゃんはまだ生きてる。救急車も呼んだ。


あとは、マイキー君に立ち向かうだけだけど…！！



タケミチ「Aさんはまだ死んでません！！一虎くんはまだ殺していない！！
しかも、Aさんはこんなこと望んで無いはずだ！！
一虎くんを殺すより、まずAさんを病院に────っぐっ！！」


マイキー君の蹴りで、俺の言葉は遮られた。



万次郎「────お前がAを語んじゃねぇよ」


…鋭い目。今まで見たどの目より、今のマイキー君の目は冷たかった。


でも、違ぇだろ。



タケミチ「────Aを語るな？




まだ生きてんだぞAちゃんは！！！」



その瞬間、



とさ、




小さいけど、とっても大きな音を俺は耳にした。






タケミチ「────────────え？」




俺が振り向いた先には、千冬と場地くんが地面に倒れていた女の子の様子を青白い顔で確認する様子だった。


…え、Aちゃん…？



嘘だ。嘘だろ？





千冬「おい、A、起きろよ！！」

場地「こいつ、…息してねぇぞ！！」









万次郎「────────────は、」









その場の空気が、一瞬でざわついた。





…嘘だ、このままじゃ、…未来が悪い方向に変わっちまう！！

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