元彼と再会した。【松野千冬】【佐野万次郎】

16話 ページ18

…え、嘘、





─────万次郎…元彼が、義兄だったの？


イザナは長いまつ毛を伏せて言った。


イザナ「Aは、マイキーと付き合ってたんだろ？…でも、それは兄妹での恋愛だったんだ」


…嘘、

万次郎が、お兄ちゃん？


「と言っても血は繋がってないけどな」とイザナは微笑んだ。

イザナ「俺とAは血が繋がってるよ。
血は繋がってないけど他の兄妹は、真一郎とエマっていう奴もいる」


エマとは誰かわからなかったけど。


────────────真一郎？


まさか、あの、


『さ、佐野真一郎くん…？』


私が震える声で尋ねると、イザナは「うん」と笑った。

…理解が追いつかない。


『ま、万次郎とエマさんと真一郎くんは、…私と兄妹ってこと、知ってるの？』


私が1番気になったことを聞いてみた。

イザナは私の頭を優しく撫でながら言った。


イザナ「マイキーとエマは知らないよ。






…でも、真一郎は知ってた」


『…っえ、』


真一郎くんは、私と義理の兄妹だって知ってたの…？

イザナは笑って私に言った。


イザナ「真一郎、Aに優しかっただろ？多分義妹だったからだよ」


そのイザナの言葉で私はぼんやりと真一郎くんを思い出していた。



“A、よく頑張ったな！”

“マンジロー、Aを困らせるなよ！”




────────たしかに。


真一郎くんは、ずっとずっと、優しかった。


『…私は、義兄を失ったんだ…』


気がついたら、頬に涙が流れていた。

イザナは私を優しく抱きしめる。


イザナ「Aには俺がいるから。」


『…っ！』


私は、イザナの胸で泣いた。



、、

万次郎side


万次郎「…は？」


突然、Aからメールが送られてきた。


“引っ越しました。あんま会えなくなるけど、また会おう！”


…引っ越したって、どういう事だ？


念の為、みんなにも確認したが全く同じ文が送られてきたらしい。

もちろん、千冬にも。


千冬「…A、そんな手続してなかったっす。多分、


────本人ではない誰かに連れてかれたとしか考えれなくて…」



千冬は泣いていた。

俺も、頭の理解が追いつかなかった。



…Aがいなくなった？


本人ではない、他の誰か…？



男か？



“他の男に連れていかれた”という考えが脳裏を霞む。


…そんなの許せねえ。




俺は、いつものAの家に走り出していた。

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