嵐の前の�� ページ36
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「このバカ！！なんでもっと早く言わない！！」
「デ、デジャブ…」
「なに？！」
「いえ、なんでもないです、すみません。」
「これ以外に届いてるものは？」
「あー、ロッカーに…ちょちょTさん！自分で行きますから！」
.
「あとは？」
「え？」
「ほかに黙ってること、隠してることは」
「わたしこれ正座必要ですか？」
「黙る」
「はい。」
「A、他に黙ってることは。」
「…怒らないですか」
「内容による」
「…最近、その、耳鳴りが多くて…右耳がうまく聞こえない、です」
「いまは？」
「いまは大丈夫です。ずっとじゃないんです。だから、そのうち治るかなって思ってたんですけど…」
「ちょっと電話してくる」
「A」
「はい」
「俺ら、そんなに頼りない？」
黙っておくことが正しいことだと思っていた。でもこんなにも周りの人を傷つけてしまうなんて思いもしなかった。
「…ごめんなさい」
『とりあえずAは今日は一旦寮で。明日以降はホテル。』
電話から戻ってきた征さんに告げられた今後。家に帰る時は、必ず付き添いが必要になった。
必要最低限の荷物を取りに戻って、案内された部屋へ。
「はぁ…厄年かな、今年」
耳鳴りを聞きながら、床に座ったままベッドに突っ伏す。
．
「え、Aさん？」
「…宗ちゃん…」
「なにしてんすか？」
「寝てる」
「いや、それはみればわかるけど…ここ選手寮ですけど」
「何も聞かないで…もう寝かせてください」
「…他にここにいること知ってる人は？」
「征さんとTさん…言わんくていいよ、誰にも。」
「すげーメンツですね。亮さんは？」
「亮ちゃん…言ってないねぇ。」
「ふーん…Aさん明日京セラっすか？」
「どうだったけ…なんかあった？」
「やっとこっち向いた。いや特になんもないっす。ベッドで寝ないと身体痛くしますよー。」
「ありがとうー。おやすみー。」
慣れない部屋に慣れない香りだったけど、人の気配がするのがひどく心地よかった。
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作者名：はぬ | 作成日時：2023年11月12日 19時
