嵐の前の�� ページ35
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ほとんどの選手がオフのこの日
選手が来るかもしれない時間よりずっと早く来て、適当に音楽をかけてストレッチをする
「いてて」
最近、自分の体をメンテできてなかったな…と反省。
いい感じに脱力したところで、バランスボールに乗っかる。
体幹と内転筋に刺激を入れるにはちょうどいいんだなこれが。
「うわっ？！」
時間を確認しようと動いたら、バランスを崩して落っこちてしまった。
年取ったなぁ、と天井をぼんやり眺める。
かかっていたのはヒーリングミュージック。窓から差し込む光が心地よくて、芝生に体を預けて眠ってしまった。
．
「おい、起きろ。」
「…」
「起きろバカ娘」
「…んえ？！」
「やっと起きたか…おはよう」
「おはようございます…え、今何時ですか」
「9時になるところ」
「9時…よかった…あれTさん早出ですか？」
「もう少しゆっくりするつもりだったけど、Aが倒れてるってあいつらが騒ぐから」
言われて見てみれば、奥から何人かが顔を出していた。
「ごめーん、寝ちゃってた！」
「全く人騒がせなやつだな…」
「すみません…」
倒れてると思うなら、Tさん呼ぶ前に声かけてくれてもいいのに…なーんて。
「で？」
「ん？」
「こんなところで寝落ちするくらい、何に悩んでんの、お前は。」
「悩んでなんか…」
とぼけようとしたが、こちらをみる目があまりにも真剣で。もうこれ以上黙っておくことは、チームにとっても良くないことだと思った。
「…さ、最近」
「うん」
「変な手紙が来てて」
球団事務所やドームに、ストーカーのような手紙が届くようになったこと。
最初は文章だけだったのが、盗撮写真まで入ってくるようになったこと。
そしてつい先日、それが自宅のポストに入っていたことを伝えた。
「いつから」
「ううん、手紙は2,3ヶ月前くらいからですかね」
「バカかお前！なんで黙ってるんだよそんなに！」
「そ、そんなに大きな声出さないでくださいよ！」
「中垣コーチは？」
「ううん」
「はぁぁぁぁ。その手紙、今はあるのか？」
「あ、あります。え、ちょっと！Tさん？！」
手紙を受け取ったTさんはずかずかとものすごい大股で離れていってしまう。
脱いでいた靴を急いで履き、後を追う。
こちらを覗いていた子たちも、なんだなんだと目をぱちくり。
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作者名：はぬ | 作成日時：2023年11月12日 19時
