不本意です (ページ34)

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嵐の前の③ ページ34

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「おはようございます」

「おはよう、外で待ってなくてよかったのに」

「上司を待たせるわけにいきませんから」

「変に体育会系だよな」

「帰宅部のエースだったんですけどね」

「ほんと不思議なやつだよな、お前って…にしてもまた顔色悪いな」

「あぁー…その、夢見が悪くって…」

「聞いても大丈夫なやつ？」

「…母が亡くなった時の夢でした」

「もう1年か。早いな…」

「はい、あっという間でした」

「後悔してるか、大阪来たこと」

「まさか。そういう可能性もあることは覚悟の上で北海道を出ましたから。…ただ、あと数日待ってくれれば私も札幌にいたから、会えたのかな…とは思っちゃいますね」

「そうだな…そう言えばお前、あの時も変なこと言ってたよな。」

「なんか言いましたっけ？」

「"チームに家庭の事情を持ち込むわけにいきません！"って」

「あははっ、言いましたっけそんなこと」

「監督たち呆気に取られてたぞ。あいつ何の部活だったの、って。で、体調は悪くないんだな？」

「はい、全然大丈夫です。」

「無理はするなよ、絶対に。」

「はい。」

．

『何かあったらすぐ言うんだぞ。』

帰り際、車を降りる時に言われた言葉。

何度も出そうとしてはやめて、リュックの中でくしゃくしゃになったそれ。

「言えなかった…」

ﾋﾟｺﾋﾟｺ

"起きてる？"

『起きてるよー』

"荷物送ったから！届くの楽しみにしてて"

『え！何届くの！ありがとうー』

"最近は大丈夫なの？"

『なにがー？大丈夫だよー』

"分かってないなら大丈夫とか言わない！
なんかあったらすぐ相談するんだよ！"

『(スタンプ)』

"ムカつくな、その顔。笑"

『かわいいでしょ。お気に入り。』

"いってくるー"

『行ってらっしゃい。今日も怪我なくね』

"(スタンプ)"

『買ったんかい！』

最近、周りの人に心配されてばっかりだな…

明日こそは、と決意して再びリュックに突っ込んだ。