合流 ページ4
．
「痛っ！なに？！」
「よっ」
「いひゃいでふ(痛いです)」
「久しぶり。ちっちゃくなった？」
「お久しぶり。さっきのチョップで縮んだんだよ…」
そうだった、今日が合流日だった。
朝からみんながソワソワしている気がして、理由を尋ねてみれば"彼ら"の合流日だと答えが返ってきた。
今日まであっという間だった、としみじみしながら準備やら片付けやらに勤しんでいれば頭頂部に走った衝撃。
振りかえるやいなや私の頬を鷲掴んで満足そうな表情をした大谷翔平が立っていた。
「こんなところにいていいの？みんなあっちだけど…」
「あっちにいる人には挨拶終わったよ。Aちゃんも今回選ばれてるって聞いたのに、いなかったから探しにきた」
「それはお手間を取らせました…よく見つけたね」
「でしょ？勘は鈍ってなかったわ」
「ふふ、さすが。そういえば札幌ドームでもよく探されてたっけ」
「すぐいなくなるんだもん」
「失礼な。仕事してただけでしょ…あれ。てことはヌートバーさんも合流した？」
「したよ。俺より先に着いてたよ」
「挨拶しなきゃ。あ、軽食とか補食のリクエストある？今なら追加手配間に合うと思うけど。」
「んー、大丈夫かな。ありがとう」
「わかった。じゃあ何かあったら言ってね。」
「Aちゃん」
「んー？」
「今日からよろしくね。」
「こちらこそよろしくね。」
テレビで活躍が報じられる度、どんどん遠い存在になっていくように感じていたが、どうやら変わってないらしい。
私が日ハムにいた頃、年が近いこともあってよく声をかけてくれた翔平くん。いきなりプロの世界に飛び込んで、何もかもが初めてで困惑することばかりだったけど、彼のおかげで楽しく過ごすことが出来ていた。メジャーへの挑戦が正式に決まった時も寂しくて泣いたっけ。
「あ！！」
「びっくりした。急に何」
「一平さんは？！」
「一平さんは今あっちで挨拶回りしてると思うよ」
「会いたい！」
「俺の時よりうれしそうだね？」
「そんなことないよ？でも、久しぶりだけど久しぶりな感じがしないかも。」
「そんなに俺の情報追ってくれてたんだ」
「いや、勝手に入ってくるんだよね。一平さん！」
「おー、久しぶりだね」
「お久しぶりです。」
「元気そうで何より」
「さっき翔平くんに死角から暴力振るわれました。叱ってください。」
「好きだね、翔平も」
「ひひっ」
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作者名：はぬ | 作成日時：2023年11月12日 19時
