シャンパンファイト ページ16
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「世界一の侍!最高!」
グラウンドでのセレモニーを終え、栗山さんの声で始まったシャンパンファイト。
ビールかけで偉い目にあってから、こういう場は避けていた。
おめでたい席だから仕方ないとはいえ、悪ガキが増えすぎて手に負えなくなるのだ。
ノリが悪いと言われるかもしれないけど身の安全の確保が最優先です。
だから今回も片付けに集中するつもりだったのだけれど。
「Aちゃん!おつかれさま!」
「冷たい!!!!」
悪ガキどもにお酒をかけられまくっている現在。どうしてこうなった。
「さ、さむい」
「大丈夫?唇青いよ」
「心配するならかけないでよ…」
安心安全の源田さんの背に避難していたのに、周東くんに捕まってしまった。
「あれ、同い年だっけ?」
「タメです」
「年下だけどね。冷たいってば、もう!」
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「Aちゃん、シャワー行こ。寒すぎる」
「神様ですか」
ダルさんに誘われて、シャワーに行くために出口に向かったのだが
「Aさんどこ行くんすか」
逃走は失敗に終わった。私に神様はいなかった。
ええいままよと開き直って、周東くんの背中にビール瓶を差しておいた。
…意外と楽しいかも。
この機会に普段の仕返…恩返しをしようと考えたけど、やっぱり報復が怖くて遠慮しておいた。
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「ぐしゃぐしゃやなぁ」
「吉井さん助けてくださいよー、もう化粧もとれましたよ…」
「わしも化粧落ちてもうたなぁ」
だめだこの人。ずっと適当だ。
「ぶわっ?!」
「ひひひっ」
「翔平くん、、覚悟」
「冷てっ」
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「締め!締め!」
「近ちゃん?」
どうやらシャワーを浴びに行ったのは、ダルさんだけじゃなかったらしい。
近藤さんに対しブーイングが起きた。みんな近藤さんにだけ当たり強め。
愛されてるなぁ。
「また3年後、みんなで。また金メダルを獲りにいきましょう」
こうしてWBCは幕を閉じたのだった。
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作者名:はぬ | 作成日時:2023年11月12日 19時