闇と真実 ページ7
キャンプ地に着くと、辺りは真っ赤に染めあがっている。
もう夕方を過ぎたのだが、イナズマジャパンの熱は冷めていない。話は明日人のことになり、本気で心配するメンバー。
アースが明日人じゃないとなれば、どこにいるのかなんて分からない。監督でさえも知らないと言う。
「みんな、心配かけてごめん」
だが、明日人は突然目の前に現れた。
喜ぶメンバーの質問に答えるその声色は、どこか悲しげ。
明日人は死んだと告げられ、だが本当は生きている父と再開した。
「父ちゃんには会えたんだ。けど…」
まだ暗い、悲しげな表情のまま話し出す。
その内容は、オリオンの闇を知ることにもなった。
明日人の前に現れたという父は、案の定偽物。
明日人をオリオンに入れさせるための演技にすぎなかった。更に、明日人を引き入れるために情報をなんとしてでも集めた。
そこまでして明日人を入れたいオリオンの意図は不明だが、オリオンがこんなことをし始めたのは10年は経っていない時。
オリオンをまとめていたのは、フロイの兄であるベルナルドの父のヴァレンティン・ギリカナン。
ヴァレンティンは、今同様に世界の貧しい子どもを救う支援をしていたが、今のようにサッカーを悪用はしなかった。
サッカーで、ボールで、子どもたちを笑顔に、勇気を与えていたのだ。
が、ヴァレンティンが亡くなると、息子のベルナルドに権限が渡ったが、父の死の影響で考えが変わってしまった。
今のようにサッカーでビジネスをコントロールしたりなどしない、そんなオリオンはなくなり、今に至った…。
この状況を知ったイナズマジャパンは、オリオンの闇を知り、本当のオリオンも知った。
(マリクくんは、どう思ってるんだろう…)
Aはマリクのことを考えた。
救ってくれたはずなのに、サッカーを汚して、明日人を騙し、ビジネスに考えをとられた。
マリクがこのことを知っていようが、知らなかろうが、マリクの意思が気になってしまう。
話が終わり、それぞれが部屋に戻る中、明日人はAを引き止めた。
「あのさ、A。話があるんだ」
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