向かう気持ち ページ6
ロッカールームに向かうと、丁度つくし、杏奈が知らせを持ってきた。
二人は、日本の決勝進出を告げた。
イマイチ実感がわかないイナズマジャパンに、析谷が信じてもらうためにつけたす。
「みんなよくやったね、おめでとう」
先程のロシアとの試合で負けたのに決勝に行けることを、なんとも言えない気持ちで受け取った。
日本は、勝ち点2の中での得失点差で、なんとか決勝進出へと進めたのだ。
この言葉でようやく実感するイナズマジャパン。
彼らのサッカーはまだまだ終わらない。優勝する最後まで、きっと諦めることなく戦い続けてくれるだろう。
キャンプ地に戻るバスではほとんどの選手が寝ていたが、Aとヒロトは起きていた。
暫く無言だったが、先に口を開いたのはヒロト。
「さっき何してたんだよ？」
『マリクくんと話してたの。マリクくんは、無理してサッカーしてるはずだから…だから、本当のサッカーをやってほしいって思った』
「お人好しだなぁ」
笑いながら言うヒロトの心情の取り方は多く、どれが本当かは分からない。
「ま、頑張ったんだな」
優しくAの頭をぽんぽん、と叩く。
『でも、説得できなかった。だから、いつかオリオンを抜けてサッカーをやってほしい』
「アイツらにも理由はあるみてえだし、優勝すればなんとかなるだろ。それまで頑張ろうぜ」
『うん！』
それから数分後、Aも眠りについた。
まだ起きていたヒロトは、もたれかかるAを見つめていた。
(これから何があっても、オリオンにAには手出しさせねえ…)
もう一度Aの頭をぽんぽんすると、間もなくヒロトも眠った。
これからイナズマジャパンにどうオリオンが絡んでくるのか分からないが、それぞれの選手が強い思いを持って、世界に挑戦する。
先にある険しい未来と戦う準備を、知らない間に行いながら。
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