見えない心情 ページ39
ーイナズマジャパン。
「監督！ヒロトはまだ来ないんですか？」
円堂は通路をずっと見ているうちの一人。何度も通路を行き来きしたり、落ち着かない様子だった。
「連絡はないです。もしかしたら、試合に出ないのかもしれません…」
イナズマジャパンに沈黙が流れた。ヒロトはスターティングメンバーの一員。そのヒロトが出ないとなると、心配と不安が深まる。
「そろそろフィールドに出なければいけません。
ヒロトくんの代わりに…」
「俺ならここにいるぜ」
後ろから聞こえた声。それはヒロトだった。
「こんなギリギリに来るなんて…心配したんだぞ！」
明日人は試合が始まっていないのに疲れている。よほどハラハラしていたのだろう。
「…始めようぜ、試合」
ヒロトはフィールドに一番に向かって行く。それに続いてみんなもスタンバイした。
ヒロトside
俺は決勝戦には出ないつもりだった。俺のせいでAは決勝戦に出られなくなった。俺が練習を長時間やったせいで、Aは…
なのに、Aはお見通しだった。俺が責任を感じて出ないと思ってること。しかも出るって信じる、アイツの純粋な優しさ。
そんなの出るしかない。俺がやらかしたことなら、全てをかけて出るしかねえんだから…。
ー病院。
テレビ画面にヒロトが映り、Aは喜びと安心感から涙を流す。思いが伝わった、と実感した。
まもなく試合が始まる。映し出されたヒロトの表情はいつもよりいきいきしていると感じたのは気のせいではなかった。
ついに決勝戦が始まった。オリオンの手がないと思われる試合は、順調に、互角に進んでいった。
0ー0が続く戦い。そんな時、ロシアの動きが変わった。
突然、操られているかのようにイナズマジャパンにボールをぶつけていく。
試合を進めるというより、イナズマジャパンを苦しめるのが目的のような、そんなやり方だった。
そんなロシアに苦戦し、イナズマジャパンは一点を失ってしまう。
初得点はロシア。イナズマジャパンには焦りが見える。
ここからどうするのか、そんな時看護師が部屋に入る。
「試合を見ている所申し訳ないんだけど…リハビリをしてもらわなくちゃいけないんです」
『いつ終わりますか？』
「30分あれば終わると思います。お願いします」
30分後には後半。だが、やらなければならないことはやるしかない。
Aはリハビリをし、30分後に試合を見るのを再開した。
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