心の気持ち ページ35
一星がいることに疑問を持つ一同。本当に止められるのか、と焦る中、四人が何かをし始める。
それはラストリゾート。だが、ラストリゾートではない。
いつも練習していたラストリゾートは野坂、灰崎、明日人の順番で動いていたが、今のラストリゾートは野坂、一星、明日人と灰崎になっている。
一星が左足で回転を加えているのも変わったこと。そして明日人と灰崎のツインシュート。
これらが変わったことで、ラストリゾートを超えるラストリゾートとなっていたのだ。
「ラストリゾート�堯�」
ラストリゾート�瑤�イタリア代表を吹き飛ばしながら進み、倒れたラケリトの代わりにペトロニオが防ぐ。
しかしラストリゾート�瑤六澆泙蕕覆ぁ�ペトロニオごとゴールに入った。
イタリア代表は誰も立ち上がれずに、棄権。
こうして準決勝はイタリアの棄権でイナズマジャパンの勝利となってしまった。
この結果に、誰も喜ぶことができない。こんな勝ち方では嬉しくもない。
イナズマジャパンは拍手に包まれているものの、それも今は苦しくなるだけだった。
試合に勝ったのに喜べない、初めてのことで動揺していた。
イナズマジャパンはキャンプ地に着くまでほとんど言葉を発しなかった。
決勝戦前日、それぞれが明日の決勝戦に向けて練習をしていた。
明日で世界一が決まる、サッカーの運命が変わる。それを背負っているのはイナズマジャパン。
そんなことを意識しながら練習に励んでいた。
Aはヒロトと一日中練習していた。パスの練習、すぐに対応できる瞬発力…どれも基本だが、基本をやることで上手くなれる。
『ヒロト、決勝戦が終わって日本に帰った後どうする？』
「なんでまだ先のこと言ってんだよ」
『イナズマジャパンにいて楽しかったけど、明日で終わっちゃう。帰らなきゃいけないし、みんなともしばらく会えない。まだみんなとサッカーしたかった…
明日のことを考えるともっと先のことまで考えちゃう』
「一生会えないわけじゃないだろ。会おうと思えば会える、サッカーもやろうと思えばやれる。俺たちはサッカーで繋がってる。
サッカーっていう一つのものでな」
『けどやっぱり悲しい…』
納得してくれるだろうと思ったが、Aは泣き出してしまった。
「おい…！」
世話がかかる、とため息をつくヒロトだが、その顔はどこかやさしげだった。
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