お願い ページ33
止めたと同時に、力を出し切ったように倒れるラケリト。
ラケリトは治療で外に出た。だが、ラケリトだけではなく、他の選手も苦痛の表情を見せていた。
『このままだと、イタリアの選手達は歩くこともできなくなってしまいますよ！監督…！』
サッカーで体の動きを奪うなどあってはならない。スポーツだけではないが、命、体は何よりも大事だ。プレイすることを優先していては、彼らが危ない。
｢うーん…｣
監督は唸っていた。真面目に考えているのか、イナズマジャパンがどうにかすると思い、考えていないのかは分からないが。
｢そのことについてはなんとかします。その前にAさんにお願いがあります｣
『お願い、ですか？』
｢皆さんに指示を出してもらいたいのです｣
『わっ、私がですか！？』
突然のお願いについ大きな声を出してしまったA。
『指示って…何を出せば…？』
｢今のイナズマジャパンには焦りと不安がたくさんあります。その感情があればプレイを妨げてしまう…
そこで、Aさんが何をするか指示を出せば、試合に集中し、その感情をなくすことができます｣
『まだ心配ですが、やってみます』
監督はAにタブレットを預ける。
｢さすがって感じだな｣
ヒロトが素直に褒める。
『えっと…つ、使い方教えて…』
Aの言葉で、ヒロトは一瞬で不安になってしまった。
フィールドでは豪炎寺がラストリゾートを使うことを提案した。ラストリゾートがあれば試合を一気に終わらせることができるという。
明日人、灰崎、野坂はまだ完成していないラストリゾートを繰り出した。
｢ラストリゾート！｣
が、ラケリトが技を使う前に威力はなくなり、キャッチされてしまう。
まだ何かが足りないラストリゾート。
その何かが分かるのは時間がかかりそうだった。
イタリアに攻められ、守りに入るも、あっという間に円堂まで進まれた。
マッテオが暴走チャリオットを使い、円堂はダイヤモンドパンチで止めた。
『ペトロニオさんが来ます。そろそろ体力が限界なので、中央付近で転倒するかもしれないです…』
『これでいいんですか？指示っていうより、情報ですけど…』
｢状況を伝えられればいいんですよ｣
試合を見ていると、ペトロニオは本当に転倒した。
そこに豪炎寺が来てボールを取る。
明日人たちに渡すのかと思ったが、その前に小僧丸が現れた。
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