復帰 ページ32
グリッドオメガを受けた選手は、灰崎の真空波で助かっていた。
グリッドオメガでフィールドに叩きつけられる前にフィールドに真空波を作ったおかげでダメージは少なくなっていたのだ。
だが、真空波が届かず、動けない者もいた。
アフロディ、砂木沼、のりかは担架で運ばれた。
｢立てるか？｣
風丸がAに手を差し伸べる。
『はい…ですが、とてもプレイできそうにないです…』
Aの足元は震えていた。灰崎は直前に出したため、届かない者がいても当然。そして、ダメージを受けてしまっている者がいるのも当然だった。
Aはやむを得ずフィールドを出ることになり、万作と交代。
｢大丈夫なのかよ？｣
Aがベンチに来て一番に心配したのはヒロトだった。
『動くことはできるから大丈夫だよ。震えてるだけだから』
杏奈が治療をしながら呟いた。
｢『けいれん…？』
｢筋肉が自分の意思と関係なく勝手に収縮…つまり、伸び縮みしてしまうことです。運動した後に起こることもあります｣
『グリッドオメガの影響で、けいれんが起こったんですね…』
｢このくらいなら安静にすればすぐに治るので、安心してください｣
『ありがとうございます、杏奈ちゃん』
Aが無事なのが分かると、交代の選手がフィールドに入って行った。
円堂、小僧丸、万作が入り…
豪炎寺が入った。
豪炎寺はこの準決勝でやっと出場することができた。
韓国戦で足を怪我してからここまで出たことはなかったが、満を持しての出場。
豪炎寺が入ったことで、イナズマジャパンは自然と笑顔になる。
豪炎寺に憧れている小僧丸も、嬉しさを出していた。
豪炎寺を入れた試合が始まり、ボールはフィールド外に出て日本側の再開。
風丸がボールを持つと、円堂が手を挙げている。
俺にボールをくれ、そう言っているように。
風丸から円堂に渡ると、円堂はキックで豪炎寺へとパスをした。
豪炎寺がパスを受け取り、シュート体制に入る。
｢ファイアトルネード！｣
炎のエースストライカー豪炎寺修也の原点とも言える技が出された。
｢トリケラ・シールド！｣
ラケリトが必殺技で対応するも、豪炎寺のシュート力は凄まじいものだった。
ラケリトは膝をつきながら止めようとし、ペトロニオがまたやめるよう言う。
が、ラケリトはやめずに止め続け、ボールの勢いはギリギリで止まった。
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