不思議な ページ4
「ダブルヘッド・イーグル！」
二匹のイーグル…鷲が現れ、技となる。
「止めろ、のりかー！」
ベンチから叫ぶ円堂。その声に意識が遠のきながらも全力を出すのりか。
「マジン・ザ・ウェイブ！」
止めるためにも耐えようとしたが、のりかは限界だった。催眠ガスでついに目が閉じ、ボールはゴールに入った。
点は3ー2でロシアが一点上回り、そこで試合は終わった。
イナズマジャパンは初めて負けたのだ。そして、負けたことで、スペインとアメリカの試合の結果が、予選突破できるかが決まる。
この結果に、言葉が出ないイナズマジャパン。
この試合に負けた理由、それは一つしかなかった。
ロシア代表による行為の数々。
これによって、攻める手を失い、更には守ることもできなかった。
ここまでされては、サッカーだとは言えない。
つくしも、こんなのサッカーじゃない、と泣きだしそうだった。
マリクはこの試合で、やはり違和感を感じていた。
勝っても喜べなかった。嬉しいとも、楽しいとも思えないサッカーは初めてだった。
「大丈夫かい、明日人？」
マリクは小僧丸に負傷させられたアースに話しかける。
彼が明日人と言うなら、やはり明日人なのか…
会話を聞いていたAは悲しくなる。明日人が本当に敵に回っていたことに。
「それにしても、仲間と気づいていながらあの仕打ち…ひどいよね」
小僧丸のやり方に、マリクは納得いかなかった。あそこまでする必要はないのに。
「違うよ。彼は、俺に怪我させないために、手を抜いた」
アースはバンダナを取った。マリクは思わず表情を変える。
なぜなら、明日人じゃなかったから。
「僕はルース・カシム。稲森明日人の代役だ」
アースは、明日人ではなかった。そして、アースでもない。ルース・カシムと名乗った彼は、明日人の代役。
マリクはなぜ代役なんているのか、分からない。マリクも知らされていなかった。
明日人がどこにいるのかも。
『明日人くんじゃなかった…？』
「はぁ？お前の予想通りなんだろ？」
灰崎は明日人だと思っていたことを悔しがって、Aに嫉妬でもしているよう。
『でも、本当にそうだとは思わなくて。なんで明日人くんじゃないと思ったのかもよく分からないんです』
分からないことだらけなことに、空気は良くない。
何が分かっているのか、それすら分からなかった。
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