バラバラの日本 ページ28
試合は一旦中止になり、同時に作戦を練る。
「作戦がある」
野坂が言う。
『イタリア代表のあのサポーター…きっとあれこそが速さの原因であり、アリーチェさん、ディアナさんの動きの原因でもあります』
「だからサポーターをどうにかしなければならないんだ。
おそらく、あれが手足の筋肉に作用し、彼らの身体能力を限界以上に引き出していると考えられる」
一星はサポーターはオリオンに支給されたものだと言った。
「でも、その強力なサポーターをイタリアも制御しきれてはいません」
「僕たちはそこを利用させてもらう。
スピードとパワーがある分、接触した際のダメージは相当なものになる。僕たちは彼らを挑発されるプレイをし、彼らを衝突させるんだ」
『野坂くん！？』
「なるほど。自滅を狙うんだな」
「そうやってイタリアの動き自体を止める他に方法はありません」
「そうでもしないと、この状況は変わらないか…」
水神矢、一星、風丸、剛陣、坂野上…他のメンバーも頷き、賛成していないのは何も言わない円堂、明日人、Aのみ。
『本当にそれじゃないとイタリア代表に勝てないんですか…？衝突させて棄権させて勝つ、そんな方法で勝っていいんですか…！？
ちゃんと試合をして負ける方が、私はいいです…』
Aは納得いかなかった。これがイナズマジャパンのやり方なのかと言われたら、そんなはずないから。
「負けたら意味が無い。僕たちがやってきたことは…オリオンを倒す目的も、サッカーを救う目的もなくなる。
これしかないんだ」
野坂に言われ、Aは目線を下げた。
『私は…みんなに…賛成、です…』
こうするしかない。こうするのが正解…。そう自分に言い聞かせ、Aは賛成した。
「俺は反対だ！」
明日人は一人、はっきりと意見を言う。
「忘れたのかみんな！俺たちは正面から戦うって決めただろ！
敵がどんなに卑怯な手を使っても、俺たちが卑怯になっていい理由にはならない！」
野坂はそれに対し、イナズマジャパンが卑怯になるけではなく、イタリアに自分たちのサッカーがどんなものか感じてもらうと言った。
ブラジル戦の時と同じように、本当のサッカーをしてもらうためにはこうするしかないということ。
「だからって！選手を危険な目にあわせるやり方はダメだ！」
「だったら他に方法が？野坂さんたちの作戦を使わずにどうやってイタリアに勝てるというんだ？」
「そんなの分からない！」
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