女王さん ページ23
ラスト三分になり、イナズマジャパンの体力はかなり削られていた。
呼吸は荒く、このままでは攻め込まれてしまう。
ボールを持った野坂は、まだ粘っている明日人にパス。
ボールのコントロールがイナズマジャパンで誰よりも得意な明日人は、最後の力を振り絞りながら進み続ける。
ゴール前で上がってきた灰崎にパスをし、これが最後となるシュート。
「シャーク・ザ・ディープ！」
「マカロニスパゲッティソース増量！」
必殺技が進化したが、シャーク・ザ・ディープは止められない。
あと少しでシュートが決まる時、アルトゥールが止めに入った。
が、同時に水神矢がヘディング。
水神矢の方が早く、シュートが入った。
4ー3でイナズマジャパンが追い越した。
ホイッスルでブラジルがセンターラインから動くが、試合終了のホイッスルが鳴った。
イナズマジャパンは勝つことができた。勝てないと言われた試合に勝ち、ブラジル代表を変えた。
その達成感からか、イナズマジャパンは疲れているのにも関わらず笑顔だった。
アルトゥールも、負けてしまったが健闘を称えた。
数日後、イナズマジャパンは休む暇なく次の試合に向けて集まっていた。
監督にまたも今のままでは勝てないと言われたイナズマジャパン。
次の対戦相手のイタリアは、“怖い女王さん”という人物がおり、監督はその女性、イリーナについて語る。
オリオンの闇を産んだ張本人、支配者だと監督は言う。
「厄介なことに、女王さんはとっても意識高い系女子でしてね、気に入らない者は徹底的に排除！排除！排除ー！」
監督はそうして排除されたネズミの一匹だ、と発言し、雷門中のメンバーは心当たりを感じた。
監督は経歴が謎であり、一時期サッカー界から消えたことがある。それと関係しているのか。
「それが、十年前親分がオリオンの悪事を暴こうとして、逆にサッカー界から追放された事件、というわけです」
「ま、彼女にとって私との因縁なんて、餃子を蒸すか焼くかくらいのどうでもいいことなんでしょうけどね」
子文は蒸す一択だ、と話の腰を折ったが、灰崎はそんなこと気にしていない。
気にしているのは監督が黒幕を知らないと言ったのに知っていたこと。すっとぼけていると坂野上も反論したが、監督がすっとぼけたため、解決しなかった。
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