反則プレイ ページ20
ベンチにメンバーが集まると、経穴殺法にやられた者達に析谷は経穴ヒーリングという謎のことをやり始めた。
もちろん効果は絶大。あれだけやられていた明日人も元気になった。
「対策を考えないとうかつに近づけないぞ」
「一度くらうとしばらく動けなくなるしな」
「くらわなきゃいいんだろ」
『ですが、いつくらうことになるか分からないです。避けてもまた狙われる。結果、何をしても避けることはできません』
「じゃ、どーすんだよ」
「俺たちは、俺たちのサッカーをやるだけだ」
明日人はいつも通りだった。この危機的状況でもいつも通りのサッカーにこだわる。
「もう、方法は一つだ」
水神矢はポツリと言う。
「俺達もやらないか、反則プレイ」
『水神矢くん…！？』
「俺は本気だ。容赦はしない」
いつもとは全く違う水神矢の雰囲気に、言葉が出ないイナズマジャパン。
ここまで来て、ついにイナズマジャパンはオリオンと同じ手を使うことになるのか、心配でしかない様子。
『水神矢くん、策ってこのことですか？こんなの、策じゃないです…』
泣きそうな声で抗議しているA。
「これが策だ。
だかな、フリだよ、フリ。」
『フリ…？』
なぜフリをする必要があるのかは分からない。恐らく、大半が分かっていない。だが、野坂はすぐに理解した。
「なるほど。殴られたことのある者でなければ、殴られた時の痛さは分からない…ってことかな」
後半、ヒロトと小僧丸はアツヤと剛陣に代わって試合が始まった。
反則をせずに反則に見せかける、というのが作戦。
日本側からボールを運ぶ。サッカーをするためであり、反則に見せかけるのが本意ではない。
上がろうとしたが、ボールはブラジル側に。
そしてついに日本側に攻めて来たブラジルに反則プレイをする。
剛陣、水神矢はミッドフィールダー、サムエウを追い越し、サムエウの前をアツヤが通る。
サムエウは転び、剛陣、水神矢は何かしたかのように見せかけた。
「楽な仕事だな」
サムエウの視線が水神矢に行き、衝撃を受けた。
水神矢はヒモを取り出し、反則プレイをアピール。
そして今度は、ミゲルがシュート体制に入った時。アツヤがスライディングでミゲルを狙うが、アツヤのスパイクに何かある、そう思ったミゲルはシュートをやめた。
そして次は灰崎がミッドフィールダー、ロランをわざと滑らせたかのように、液体を見せた。
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