強い相手だから ページ16
当日、不安が多い中ブラジル戦を迎えた。
Aはスタメンに選ばれ、ヒロトはそれを心配している。
「本当に大丈夫か？」
『大丈夫だよ。それに、私だってイナズマジャパン…だから背いちゃダメなの』
強い意志を持ったAを見ると出るなとは言えなかった。
「無茶はすんなよ？」
『大丈夫！』
試合が始まる数分前、
「オーレ、ブラジル！」
キャプテンのアルトゥールと共に、メンバーたち全員でフィールド上で踊り出した。
その盛り上がり、笑顔に思わず本当にオリオンなのかと疑ってしまうほど。
だが、アルトゥールは明日人や他のメンバーも巻き込んで更に盛り上がる。
ベンチにいる監督や剛陣、円堂、坂野上までもが踊り始めることに。
これには驚くメンバー(一部を除く)。場が温まった所で試合を開始する。
ホイッスルでブラジル側からキックオフ。
バックパス、空中でのパスなどテクニカルなもので攻めていき、誰もボールを奪えない状況に。
ブラジルの実力がここまで高いことに気持ちが劣ってしまうが、それでも始まったばかり。諦めずに挑むイナズマジャパン。
アルトゥールにボールが渡ると、ゴール前なのにも関わらず走り続ける。
今試合のキーパー西蔭はボールを奪うチャンスだと思い、アルトゥールからボールを奪いに行く。
「挑発に乗るな！」
野坂の言ったことに気づかずに走り、スライディング。
が、くるりと避けるとそのままシュート。
ゴールに吸い込まれるようにして入ったボール。日本は早くも一点を取られてしまう。
ブラジル代表はボールのコントロールを得意としている。これではボールを奪うことすら難しい。
日本からのボール、明日人がフェイントでアルトゥールを抜かそうとする。
が、簡単に取られてしまった。
「まだまだ！」
それでも明日人は挑む。途中転んだが、諦めはしない。そしてその明日人を見て小僧丸、灰崎は熱くなった。
明日人の努力が全体に火をつけていた。そして学んだ。
サッカー選手は試合の中で強くなることができると。強い相手に挑み、励むからこそ努力が実る。
この勢いに乗ろうと、水神矢は策を出した。
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