対ブラジル戦 ページ15
その日の夜、ようやく一星が帰宅し、一星が調べてきたことを伝える。
一星は今の理事長、ベルナルドの所にフロイと共に行った。フロイとベルナルドの会話を聞いているうちにオリオンの闇も少なからず分かったらしい。
だが、黒幕はまだいるという。一星は分からないが、フロイは検討がついていると言った。
一星に教えることはなかっため、黒幕というのが誰かは誰も知らない。
「もしかして、監督は知っているんじゃありませんか？」
野坂が言うと視線は監督に集まり、監督は知っているかのように言葉を紡ぎ始めた。
「ズバリ！その正体とは！」
一呼吸ついて監督は告げる。
「私にも分かりませーん」
「分かんねえならもったいぶるなよ！」
イナズマジャパンが盛大にずっこけると剛陣はすかさず突っ込む。
そして監督は何事もなかったかのようにブラジル戦のことへと話を切り替える。
明日人が言葉を発して士気を上げると、水神矢、野坂はAに言ったことと同じようなことをイナズマジャパンにも言う。
「おそらくまともに戦ったとしても、今の僕らでは勝てない」
『イナズマジャパンはどうしたら勝てるんですか…？』
数時間前、Aはあの場でイナズマジャパンが勝てないとすでに言われていた。
「方法はまだ分からない。けれど、きっとどこかに方法はあるはずだよ」
「そのことについては俺に任せてもらえないか？」
『水神矢くんは何か策があるんですか？』
「あぁ。しかし、今言ったところでチームの焦りを煽るだけだ。策については当日言う」
『当日って…その場でってことですか！？』
あまりにも無茶なことに、顔色を変えるA。
「アイツらならいけるさ。客観的に見てきた俺だからこそ確実に言えることだ」
『分かりました。水神矢くんの言う通り、当日策を伝えてもらいます』
不安はあるものの、冷静な水神矢ならなんとかしてくれる、そう信じて好きブラジルについての調べ、対策を終えたのだった。
(ブラジル戦、勝たなきゃいけない。絶対勝たなきゃいけないんだ…)
水神矢が何をするのか分からないからこその緊張。イナズマジャパン全員に日本が勝てないと伝えたからには、相当なことをするであろう。
だとすると、水神矢は何をしようとしているのか。
「まとも」に戦って勝てないというなら、「まともじゃない」ことでもするのか…
そう考えてしまったAだが、気持ちを切り替えて現実と向き合った。
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