And now Dear-2 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:7,418 hit

５５．約１年前（Your side）-3 ページ5

約束の時間は１６時。

この公園の、いつものベンチで。

(なんだか緊張する…)

約束の時間よりもちょっと早く着いていた私は、いつものベンチに座って彼を待っていた。

あ、そういえば戸田君から連絡が入っていたんだった！

…TRRRR

戸田「もしもし？」

「もしもし？戸田君？」

戸田「おー!元気そうだね？今韓国にいるんだって？」

大学時代に同じゼミだった戸田君。

「実は明日帰国するんだ。すごいタイミングだね？ってか急にどうしたの？」

戸田「…実はさ、」

「えっ…？」

…

久しぶりに聞いた“彼”の名前。

戸田「連絡しようか迷ったんだけどさ。やっぱり、小橋さんには伝えておいた方がいいと思って。」

…

…

戸田「日本に戻る直前だっていうのに…なんかごめん。」

「…ううん。わざわざ、ありがとう。」

戸田「またさ…、あの頃みたいに、みんなで会えたらいいね？」

「うん…そうだね。」

戸田「じゃあ、また。」

―ﾂｰﾂｰ

…ッ

…ッッ！！

だめ…

泣いたらだめだ…

これから彼に会う…のに…ッ

気を紛らわそうとヘッドフォンをした。

～♪

バッグの中で音楽プレーヤーはラジオモードに切り替えられていたのだろう。

…流れてきた音楽は、

歌声は

切なくて、優しくて、温かかった。

♪～stars…

心の奥底に閉まっておいたはずの想いを、

呼び起こすように、

癒すかのように。

涙がとめどなく流れる。

「うぅ…ﾋｸｯ、ﾋｯｸ。」

もう止められなかった。

――――――
DJ「いや～いつも思いますが、今回も素敵なカバーになりましたね。最近アップされたそうですね？」

??「そうなんです。この切なさを表現してみたいと、ずっと歌いたいと思っていました。」

DJ「…本日は人気急上昇中のアイドルグループ防弾少年団からジョングクさんをお招きしましたー！ありがとうございました！」

JK「ありがとうございました！」

――――――
ひとしきり泣いた後、ずっと流れていたはずのラジオの音に、ふと我に返った。

(あ、そうだ約束…！)

慌てて涙を拭い、ヘッドフォンを外して周りを見渡す。

「あっ…。」

少し離れたベンチに座って、心配そうにこちらを見ている彼がいた。

時計を見ると、すでに１７時になろうとしていた。

「あの…ご、ごめんなさい…！」

??「…あ、ちょ、ちょっと待っ…！！」

私は一目散に駆け出した。彼の言葉に振り向くこともなく。