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まさか、あの時の彼って…
「テヒョンさんなの…?」
サオ「何か思い出した?」
「ボソッ いや…でも確信はないし…でも言われてみれば似ているなって思ったこともあったし…。」
サオ「えー?何?!やっぱり会ったことあったの?!」
「…それがさ、名前は分からないんだけど、帰国前に何度か会ってた男の子がいて。」
―――
サオに帰国前に公園でたまに会っていた“彼”の話をした。
サオ「それだーーー!!」
「ちょっと静かにッ!!」
若干興奮気味のサオを落ち着かせて、再び話を戻す。
「…絶対とは言えないけど、あの頃はもうBTSもデビューしていたはずだし、あんな所にテヒョンさんが来るわけないでしょ?…それに歌手っていうより写真家とか芸術家っぽい雰囲気の人だったんだよね、彼。」
サオ「…写真家に芸術家?なんでそう思ったの?」
「良いカメラ持ち歩いてたんだよ、その人。…でさ、見せてもらった写真がすごく良い写真だったんだよね。それで「この人はすごい人なのかも(なるかもしれない)」って思って、帰国直前に会う約束して、自分の写真撮ってください!なんて勢いでお願いしたんだけど…」
サオ「だけど?」
「私が約束すっぽかした。」
サオ「はぁあ!?」
「まずは怒らずに聞いてよ(汗)…その日、その“彼”を待っている間に、戸田君って大学の時の同じゼミの子なんだけど、連絡があってさ。」
サオ「連絡?…え、もしかしてそれって」
「…そう、“生きてるよ。ただ鬱状態が続いてて、通院しながらかろうじて仕事は行ってるみたい。”っていう話。戸田君が教えてくれたの。」
サオ「そうだったんだ…。」
「うん。…気づいたら大号泣しているところ“彼”に見られてて、恥ずかしくなって逃げちゃったんだ、私。」
サオ「うわー…それでそのまま帰国しちゃったの?」
「うん…。自分から約束しておいて最低なことしたって思ってる。ただ、その時は“彼”が生きてるって分かったことと、今まで“彼”のことで何の情報もなかったからやっと知ることができたっていう安心感っていうか…頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃったんだよね。」
サオ「…その日、ピアスは?」
「その日ももちろん持ってた。その公園で落としたとして、あの彼がテヒョンさんなら…テヒョンさんが持っていたピアスは私の片方の物かもしれないんだよね。」
サオ「なんか…シンデレラみたい。」
「でもさ、名前も知らない相手の落とし物を拾って身に着けたりするかな?」
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作者名:miyuu | 作成日時:2018年10月6日 11時