And now Dear-2 (ページ3)

今日:18 hit、昨日:1 hit、合計:7,433 hit

５３．約１年前（Your side）-1 ページ3

韓国に留学して３年が経とうとしていた。

ある日、フラッと近くの公園まで歩いてきた。

(ふふっ、可愛い…♪)

３歳くらいの子ども達が砂場で思い思いに遊んでいる。

それを近くで見守っているお母さん達。

「…。」

そばにあったベンチに座って、私はしばらく彼らを眺めていた。

～♪

お気に入りのヘッドフォンから流れてきたのは、日本にいた頃よく聴いていた音楽だった。

「…。」

１か月後に、帰国する。

この３年間で何が変わっただろうか。

いや、変わることができたのだろうか。

―ｺﾞｿｯ

バッグから取り出したのは、留学の際に一緒に持ってきた恋愛小説。

"前に進むためには、いつか立ち直れると信じること"

最後の一節にある主人公の女性の言葉。

御守り代わりに持ってきたものの、

「結局、こっちに来てから、一度も開かなかったな。」

(やっぱり私は…)

ー。

「…っ？」

顔を上げると見知らぬ若い男の子が立っていた。

…ッ！！

すごい勢いで彼から目を逸らしてしまった。

(睨まれたって思われたかな…汗)

―ｽﾄﾝｯ

(えっ、隣に座るの？！)

確かに他のベンチは先客の親子たちに占領されている。

(ど、どうしよう…汗汗汗)

帰ろうかと思った矢先、足下にボールが転がってきた。

「あ…、」

手を伸ばすと、彼も私と同じようにボールに手を伸ばしていた。

「す、すみませんッ///」

??「あ、いえ…。」

私はヘッドフォンを外して、密かにこの場から立ち去る準備を始めた。

(落ち着け…見知らぬ人には気をつけなきゃ…。)

―ﾁﾗｯ

彼を見やると、「どうぞ」といって、ひとりのお母さんにボールを手渡している。

ボールを受け取ったお母さんはすぐさま子どもたちの元へ戻っていった。

(…学生さんかな？)

背が高くてスマートな出で立ち。

…地味な私とは関わりたくないであろう人種とみた。

(よし、帰ろう。)

そう思ったときだった。

？？「学生さんですか？」

「え…あ、はい、そうです。…日本から留学してもうすぐ３年になります。」

聴かれてもいないのにそう答えていた。

―――
その後も彼が話しかけてくれるものだから、話に乗っちゃった私。

彼も学生だという。

今日はズル休みしたらしい。

でも、なんとなく雰囲気というか、独特のオーラをまとっているような気がした。

…私より年下だろうな。

??「俺もたまには来ようかな～なんかこの公園、雰囲気いいですよね？」