そばにいるよ

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健人くんが病院に戻ってきた次の日､無事に退院の許可が下りて俺は荷造りを淡々と行った｡

そしてタクシーに乗り込み走ってもらって少しすると健人くんがこちらを見た｡

『...家､こっちじゃない｡』

『そうだよ｡』

『は??』

『このタクシーは風磨くんのカフェに向かってるから｡』

『なんで??』

『退院祝いをしてくれるって｡』

『しなくていいし｡』

『だって､聡もマリウスくんだっけ??楽しみにしてるって言ってたけど??』

『...めでたいことじゃないし｡』

『いいんじゃない??』

そう言って俺は正面を見た｡

カフェに着いて中に入るとテーブルいっぱいに料理が並んでいて､健人くんを真ん中に立たさせた｡

『改めまして､健人くん｡おかえりなさい!』

『ただいま｡』

『ゆっくりしていってね｡』

『ありがとう｡』

そう言って健人くんは笑ってくれて､俺もひと安心した｡

それからしばらくしておかえりなさい会は片付けをすることになり､今はフロアを聡くんとマリウスくんと俺でやり洗い物を風磨くんと健人くんの二人でやっている｡

『このグラスは??』

『あ､それは使ってないやつ｡』

『了解｡』

そう言ってグラスを手にして厨房に向かうと､流し台に二人の後ろ姿があった｡

それは画になる二人の姿で､思わず俺は立ち尽くした｡

『勝利??』

振り向いた健人くんが俺の名前を呼ぶと風磨くんもこちらを見た｡

『どうした??』

『グラス､どこに仕舞えばいい??』

『右上かな｡』

『分かった｡』

そう言って俺は指定された所にグラスを仕舞った｡

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