十五話 ページ17
二日後、松風からメールが来た。アドレスを教えた覚えはないが、黒岩あたりから聞いたのだろう
チームから抜ける人を決めます、ね……
態々やめるわけねえだろ
別に俺はあいつらが嫌いなだけでサッカー自体は嫌いじゃない
それはたぶん悠菜も同じ
他のメンバーは…サッカー自体やったことねえだろうな
脱退試験の内容はGKなしのPKで五本すべてを外すこと
態々ギャラリーまでよんでご苦労なことで
「無人のゴールを外せば合格」
「やっぱり、やめたい人は好きにしていいってことじゃない?」
「あまりにも非合理的です」
「面白い。あの監督はいつでも僕を楽しませてくれるよ」
「あの……監督はうちらに愛想を尽かしてしまって…」
「遠まわしに出てけって言ってるのよね」
「ふざけるな!」
井吹が声を荒げて立ち上がった
「勝手に集めておいて勝手にお払い箱か!俺は納得がいかない!」
「一々目くじらを立てるなよ。大人ってそんなもんだぜ?世の中にはどうしようもない『理不尽』がある。抗うより流された方が長生きできるぞ」
「だから、そうことに納得がいかないと言ってるんだ!」
「じゃあ何?お前はすべて自分の思い通りにいかないと?おいおい、そんなことは『不可能』だし『無意味』だろ」
「なんだと…」
「いつも思いますけど、口を開くたびに喧嘩を引き起こさなきゃ気が済まないんですか?」
「お前らが勝手に俺の言葉にキレてるだけだろ。もうちょいクレバーに徹しようぜ」
「君には言われたくないですね」
お前らよりキレやすくはねえよ。生まれた時から存在していた『理不尽』に抗いもせずに、生きるために好き勝手されてきたのが俺達天災児なんだから
「で、話を戻すけどさ。試験、受けるの?受けないの?」
「俺は受けるぜ。試験」
鉄角はそう返事をした
「お払い箱で結構だ。おかげですぐに船が買える」
「嵐で船を亡くした父親に船を買ってあげるということで、自分を慰めようとしているってこと?」
デリカシーのない探偵だよな
「鉄角!せっかく代表に選ばれたんだ!一緒に世界一になろうよ。韓国戦だって勝てたじゃないか!」
「その韓国戦、雲雀が出ている間はほとんど圧倒的だったじゃねえか!
俺にはお前らとボール遊びをしている暇なんてない!正直な話、雲雀さえいれば残りの十一人が園児でも勝てるだろう。俺の代りはいくらでもいるんだ。そいつと世界でもなんでも目指すといいさ」
まあ、正論だよね
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東雲歌音(プロフ) - くるみさん» ありがとうございます!これからもがんばりますので、応援よろしくお願いします! (2016年9月6日 20時) (レス) id: 132304d9ff (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - とっても引き込まれる感じがしてとっても面白いです! (2016年9月5日 21時) (レス) id: 6ca175061e (このIDを非表示/違反報告)
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