きみとふたり 2（tkin） (ページ20)

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『伊野尾くん、確かに愛は目に見えなくて、子供のこと愛の結晶って言うこともあるよね』

「っ……」

『愛なんて見えなくて当たり前なんじゃない？』

「…」

『しょうがないじゃん、俺たち愛し合ってんだから』
『それに、俺の未来のどの場面にも伊野尾くんは居るんだよ』

俺は伊野尾くんを愛してるんだ。

ごめんなさいと伊野尾くんは何度も言った。
そして最後に小さな声で愛してると泣いた。

伊野尾くんとならどんな未来でも楽しいし、どんなところへもいけると思う。
大袈裟に言うなら伊野尾くんがいない天国よりも俺は伊野尾くんが居る地獄に行きたいくらいに。
またぶつかって悩んで泣いて2人で選んだ道を歩んでいこう。

伊野尾くんがもがいてもがいて、息苦しい世界でほっと一息つける場所が俺でありたい。
そして俺も伊野尾くんがおかえりと言ってくれる家に帰りたいと願う。

『伊野尾くん帰ろっか』

「…うん」

世界の片隅で俺たちだけの愛をしよう。

世界にたった一つのどんな愛よりも綺麗な形を二人で模索しながら進んでいこう。
出産祝い、何がいいかなとまだ涙声の伊野尾くんが呟く。

車を出す前にそっと手を握って頬を撫でると、伊野尾くんは泣いて笑った。

伊野尾くんが音楽をかける。

椎名林檎さんが歌う。人生は夢だらけだ、と。