きみとふたり 2（tkin） (ページ18)

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2人はまた顔を見合わせて笑った。
俺達も顔を見合わせるけれど2人のように綺麗には笑えなかった。
遠慮しながら彼女のお腹を撫でるとほんの少しだけれども確かな膨らみと温もり。
命の始まりがたしかにそこにはあって、目の奥がツンとした。

伊野尾くんも恐る恐る手を伸ばす。
そして撫で終わったあとにぎゅっと拳を握り「元気な赤ちゃん産んでください」と笑った。
惚れている俺が見とれてしまうくらい、綺麗だった。
これで美形の子が生まれそうと可愛らしい冗談を彼女は言ってくれて

伊野尾くんも助かったように笑っていた。

『すごいね、赤ちゃん居たね』

「…居たね、生きてた」

帰りの車は伊野尾くんは音楽をかけなかった。
沈黙に耐えきれない俺が話題を振ると俯きながらも答えてくれる。

「あのさぁ、たかき」

『んー？』

信号はー、青、行ける。

「俺たち別れよっか」

『…は？』

車を運転してる時に言うなんてずるい。
大事な人を乗せてる限り俺は余所見運転なんて出来ないし、ましてや手すら握れない。

「……なんかさ、疲れたよね？最近」

『何言って、』

「なーんか馬鹿らしくなっちゃった。すれ違うし、まずメンバー同士て付き合うって良くよく考えたらキモくね？俺も子供欲しいし、とっとと別れてちゃんと家庭持った方がいいっしょ。時間無駄にさてごめんね？クッションとか荷物とか全部捨てといて？あ、今日はここでいいよ降ろして。俺電車で帰るわ。」

……信号は、赤、というか路地に停めた。
停めてくれたと思った伊野尾くんは即笹と降りようとする。

シートベルトを外そうとするも、震える手はガチャガチャと不協和音を奏でるばかりで。
そんな手を他所に両手で顔を包み込んでこっちを向かせると

伊野尾くんの顔はもう涙でぐちゃぐちゃだった。