【凪のあすから】深海から発して【木原紡】

6話。 ページ8

＝光side＝

地上の奴らに負けてたまるかよ!!

負けて…！

一瞬、今朝のあの忌々しい(いまいましい)光景が脳裏に浮かんだ。

もう焼き付いて離れないだろう。

何なんだよ…！

光：「おわっ？！」

そう思った瞬間、左足が右足に絡まって俺の前を走っている奴へタックルする様な巻き込み方で転んだ。

教師：「お前ら!何やってんだ!!」

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光：「くっそぅ…!!」

帰り道、俺は小さく呟いた。

あまりにも度重なって嫌な事が起きたからだ。

あかり：「あれー？光っ!」

サヤマートの前を通り掛かった時、姉貴の『あかり』に声を掛けられた。

あかりは陸のサヤマートで働いてんだ。

美術の大学へ進学を諦めて。

光：「ん？あかり。」

あかり：「どうしたの？Aちゃんは。」

光：「行きも帰りも一緒なんて子供じゃねぇんだよ！…痛ぇ！」

俺の鼻をおもいっきり摘まんだ(つまんだ)あかり。

やめろ！地味に痛ぇからやめやがれ！！

あかり：「はっはーん。子供が良く言うよ。」

光：「うっせぇ！」

俺は、あかりの手を腕で避けた。

光：「ん…？」

空のビール瓶が積んである場所の少しの空間に小学生がしゃがんで何かをしていた。

でも俺の視線に気づいて塀を乗り越え、どっかに行っちまった。

何なんだ？

あかり：「あー、またやられたかな。」

光：「やられたって？」

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光：「ガム文字？」

あかり：「まぁ、目立たないとこだから…。最終的になんて書くつもりなのか、ちょっと気になってね…。」

あかりは掃き掃除をしながらガム文字を見つめ、

あかり：「『どっかい』か…。『どっかいけ』かな。ここまで来るとやっぱり…。」

ポツポツと俺に話してくれた。

いつも明るい、あかりからは想像できないほど切なそうに見えた。

…陸にはこんな事する奴がいるのかよ。

すっげぇ陰湿じゃねぇか。

光：「知ってるガキなのか？」

あかり：「なんでもない！そろそろ帰んな。今日はあんたが食事当番なんだから。

あっ、夜はあっさりうしお汁が良いな〜。」

光：「今夜は豚のしょうが焼き!!」

あかり：「えー!!」

さっきと違っていつもの、あかりに戻った。

…あかり…。

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