41 心から好きだと、そう思った。 ページ41
．
TH「……好きだよ」
「え…」
TH「おれ、Aのことが好きだよ」
きっと世界が時を止めたんだと思った。
さっきまであんなに煩いと思っていた蝉の鳴き声も聞こえない。暑さも何も感じない。テヒョン以外何も見えない。
この世界には私とテヒョンだけ。
「……好きって…」
好きって、何？
テヒョンが言う、"好き"って何？
私がずっと大切に隠してきた、熱くてドロドロしてて全然綺麗じゃない、けれど真っ白で穢れない、そんなものと同じものなの？
私と同じ、そんな"好き"なの？
TH「Aはおれのことどう思ってる？」
「どうって……そんなの、好きだよ」
TH「うん。その"好き"はおれと同じ"好き"？」
…分からない。そんなの分からないよ。
私の"好き"は、テヒョンの心も身体もその全てを独り占めしたい、テヒョンの一番でありたい、一緒にいれるのならそれが例え地獄でも構わない。
そんな"好き"。
異常な想いなんだよ。
兄としてなんかじゃない。
1人の男の人として、あなたが好きなんだよ。
TH「ねえ、A」
「…なに？」
テヒョンは頬に添えていただけの手をゆっくりと動かし、その親指で私の頬を優しくなぞる。
TH「おれは、おれ以外の誰かがAにこうやって触れることを想像しただけでそいつを殺したくなる」
私の頬を撫でる優しい指先とは裏腹に、テヒョンはそんな恐ろしいことをさらりと告げる。
TH「さっきAが知らないやつに抱きしめられてるの見て、おれほんと死んじゃうかと思った」
「テヒョン…」
TH「でもおれはね、Aに触れるなって、そんなこと言える立場じゃないんだよ。
…だっておれはただのお兄ちゃんだから」
私を見つめるテヒョンの瞳はあまりにも哀しくて、やりきれないように控えめに口角を上げたその静かな笑顔に胸が張り裂けそうだった。
TH「Aが好きだよ。
…妹としてなんかじゃない、1人の女の子としてAが好き」
ぎゅっと、まるで固く絞られた雑巾みたいに心臓が締め付けられる、そんな感覚。
頭が真っ白になって何も考えられない。
嬉しいのか、悲しいのか、自分の感情さえも分からない。
．
ただ、好きだと思った。
目の前のこの人が心から好きだと、ただそう思った。
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ナノカ(プロフ) - ここあさん» ここあさんありがとうございます！ひゃ〜嬉しすぎてスクショしました！（笑）早くこちらの続き書けるように頑張りますね。いつもありがとうございます愛してます(*^^*) (2020年8月24日 21時) (
レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ここあ(プロフ) - こんばんは！もうすでに何回も読み返しました。ナノカさんの文章って読むだけでその背景が頭に映し出されてドラマを見ているみたいです。続きが気になってまた睡眠不足かな(´;ω;｀) (2020年8月9日 0時) (レス) id: 0e5cf05a43 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - ナオコさん» さすがナオコさん！私のことよくお分かりで…！（笑）波乱おこしまくります！繊細で儚げ…嬉しくてにやけました！ナオコさん今日も大好き！！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - メグさん» メグさんありがとうございます（ ; ; ）そんなそんな…と思いつつもにやけてます（笑）ゆっくり更新頑張っていきますね！お心遣いありがとうございました！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - ココアさん» まだまだお話長くなりそうなので是非最後まで覗いてやってください！ありがとうございます(*^^*)頑張ります！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナノカ
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作成日時：2020年4月30日 17時
