40 私を欲しいって訴えてる ページ40
．
「…あの…」
さっきみたいに分からないとは言えなかった。
テヒョンが私を見つめる冷たい瞳と彼が発する空気、そして学校の前でそう言ったときの彼を思い出して。
こんなテヒョンは初めてで怖い。けれどなによりテヒョンが何を思っているのか、考えていることが分からなくて辛かった。
TH「…どうしておれが休みの度に大邱に帰ってくるか分かる？」
「え…」
TH「Aに会いたいからだよ」
「うん…」
それはテヒョン本人からも何回も聞いたことがある。
実際テヒョンはこっちに帰ってきてもたくさんいる友達に会い行くことなんて滅多になくて、ただ私と一緒に過ごしたがった。
TH「…Aは、おれがAのことただの妹って思ってると思う？」
「え…」
TH「そんな訳ないじゃん、Aだってほんとは分かってるんじゃないの」
私を捕らえる三白眼はさっきまでの鋭さを失っていて、そのかわりに私に何かを期待したような熱を灯していた。
窓の外で空気を読めない蝉が鳴く声が聞こえる。
エアコンも入れてないこの部屋は蒸し暑くて、帰って一番にエアコン入れるんだった、なんて思う。
どうして今そんなどうでもいいことを考えちゃうんだろう。
もっと考えなきゃいけないことはあるのに、まるでそれを考えるのを避けるかのように私はそんなことしか考えられなくて。
テヒョンはソファから立ち上がると、少し離れたところに突っ立ったままの私の元へと距離を詰める。
心臓が痛い。
ヒュウっと浅い呼吸しかできない。
頭の中が沸騰したかのように熱い。
私は指先一つすら動かすことが出来なくて、ゆっくりと距離を詰めるテヒョンから目を逸らさずにただ見つめるのが精一杯で。
私の目の前まで歩を進めたテヒョンは、足を止めると同時にその大きな手を私の頬に添えた。
．
心臓が止まるかと思った。
．
だって、こんなテヒョンは見たことがない。
テヒョンはいつも優しくて。
他の何よりも私を優先してくれて。
Aが世界で一番大切だよって、私が大好きなあの無邪気な笑顔を見せてくれた。
．
けれど、妹ではなく1人の女としての私を欲しいと、そんな欲を灯した瞳で私を見つめるテヒョンは今まで一度だって見たことはなかった。
．
41 心から好きだと、そう思った。→←39 その三白眼に捕われて
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2785人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナノカ(プロフ) - ここあさん» ここあさんありがとうございます！ひゃ〜嬉しすぎてスクショしました！（笑）早くこちらの続き書けるように頑張りますね。いつもありがとうございます愛してます(*^^*) (2020年8月24日 21時) (
レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ここあ(プロフ) - こんばんは！もうすでに何回も読み返しました。ナノカさんの文章って読むだけでその背景が頭に映し出されてドラマを見ているみたいです。続きが気になってまた睡眠不足かな(´;ω;｀) (2020年8月9日 0時) (レス) id: 0e5cf05a43 (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - ナオコさん» さすがナオコさん！私のことよくお分かりで…！（笑）波乱おこしまくります！繊細で儚げ…嬉しくてにやけました！ナオコさん今日も大好き！！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - メグさん» メグさんありがとうございます（ ; ; ）そんなそんな…と思いつつもにやけてます（笑）ゆっくり更新頑張っていきますね！お心遣いありがとうございました！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - ココアさん» まだまだお話長くなりそうなので是非最後まで覗いてやってください！ありがとうございます(*^^*)頑張ります！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナノカ
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年4月30日 17時
