秘密。

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男なんて単純に出来てるからな。


いくら亮が好きや聞いてても、
俺にもチャンスあるんちゃう？て、
勘違いしたくなる。





オフィスを出たら、土砂降りやった。


台風が近付いてるて、
今朝のニュースであんなに言うてたのに。


Aは傘を持ってないねん。


相合傘のチャンスや。


おまけに俺の部屋はすぐそこ。



「車で送ったるわ。
俺んちにまず向かお」


そう言うたとこに。


「あれ？章ちゃんやん。
今？一緒になるて珍しいな」


亮が出てきてもうた。


浮かれてた気持ちがぺしゃんこになる。


本心のがっかりが、
顔に出てもうてないかな。


「おお、亮も今、帰りなんや」


「うん。
なんか仕事、終われへんかってな。
すごい雨やなあ」


亮の部屋もこのすぐ近くや。


Aの恋に協力する言うてんからさ。


ここは、３人で飲むとか、
そういう展開に持ってかな、
おかしいよな。


「亮、知ってる？
同期のAA」


Aを紹介する。


「知ってるに決まってるやん。
いくら部署違うても同期やし。
章ちゃんと仲良ええ子やし・・・」


Aを見た亮が少し、
顔、赤くした気がして。


胸がざわっとなった。


地味にしててあんまり目立てへんけど、
よう見たら、
A、可愛いからな・・・


気付いてるのは、俺だけやと自惚れてた。


「しばらくしたらやむんちゃう？
それまで隣のコーヒー屋で時間つぶせへん？」


そう言い出したんは、俺やなくて亮。


胸のざわざわが広がってく。


亮もAを好き？


まさか。


モテモテで、
女には困ってないはずや。


会社の女の子は後々めんどいからって、
外でしか遊べへん。


やから俺、安心してた。


Aの亮への気持ち知ってるくせに、
悪い男やな。

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