秘密。

いつかの約束。１／WEST・赤 ページ13

赤Side


大学の卒業式の後。

謝恩会のそのまた後の飲み会で。


「もしさ、３０なっても、
お互いに独り身で孤独にしてたら、
そん時は結婚でもするぅ？」


「いいね。そうしよう」


て、酔った勢いで口約束したん、
Aはもう忘れたかな。



あの頃はお互いに彼氏彼女がおって。


朝まで長電話で話せるぐらいに気が合うし、
本音ではちょっと気になる相手やったけど。

男と女として付き合うんは違うかなって。



Aの事はそういう風に感じてた。






あれから８年。


俺は３０歳になって。



けど、中身なんかなんも変わってない。


自分で驚くぐらいに、
子供のまま。


それなりに仕事も頑張ってきたのに、

人間の本質なんてそうそう変われへんもんやな。







今日は大学の同窓会。


久々のみんなの顔。



卒業以来のヤツも多い。


みんなそれなりの大人になってて。


俺だけが時が止まったみたいに子供のまんまに感じてた。


A、来てる？



会場のホテル、きょろきょろしてたけど、おらんみたいや。


思ったよりもずっとがっかりしてる自分に気付いて、それにびっくりしてる。


会いたかった。


俺、あいつにこんなにも会いたかってんな。

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