秘密。２

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一人になった部屋で、
こんなアホなことを考えてる。






家に着いたんは、
夜中の２３時を回ってから。


リビングに灯りがついてて、
気持ちが萎える。


嫁の清花は、
何をするわけでもなく、
ただ、まるでひそむように、
俺の帰りを待ってた。


こういうとこやねん。

こういうとこが、
たまらんほど、イライラするねん。



「先に寝といてくれたら良かったのに・・・」


「そんな。
忠義さんは、お仕事で大変なのに。
私だけ先に休むわけには・・・」


ほんまは全部、見抜いてて、言うてるんやろ？


家とは違う、
ボディーソープの香りに、
気付いてないはずないねん。


いっそ、清花の方から、
俺に愛想尽かしてくれへんかな、って・・・


Aにまた、クズやて、罵られるやろうなってことを、考えてる。


離婚。

そんな簡単にいかんこと、
分かってるのに。


清花の父親の力がなければ、
うちの社は今頃どうなってたか。


何千人ていう従業員とその家族を巻き込むわけにはいかんかった。


清花には感謝してる。


けど、
感謝と恋愛愛情は、
もしかして、相反する感情なんちゃうかって、
最近、思うようになった。


「忠義さん、あの、今日は・・・」


卓上のカレンダーに、
清花が視線を落とした。


ハートマークのついた、排卵日。


このために、待っててんな、って・・・


余計に冷めた気持ちに拍車がかかる。


「ごめん。
疲れてるねん・・・」


「そうだよね。
ごめんなさい・・・」


淡白な清花との夜は、
ただの作業のような錯覚に陥る。

結婚して５年近く。


ここ数年、夫婦生活はご無沙汰やのに、
声を荒げて、責められることもない。


やのに、こうやって、毎月、
控えめに、俺を誘う。


清花の本音はどこにあるんやろう。


俺のこと、どう思ってんの？


結局、俺は、どっちの女にも、
愛されてない。

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