友だちのままで… ページ20
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朝練を終えて教室に戻ると
自席の周りには人が集まってた
その中心にいるのはAで
いつもみたいにえへえへ笑ってる、平和だわ
「お、たっくん朝練おつかれ〜」
「さんきゅ〜疲れた〜」
教卓に避難してるチコちゃんに声をかけられ
席に戻れないのでそこでAを見守ることにした
「何かあったん？朝から盛り上がってるけど」
「ああ、知りたい？」
ニヤニヤと悪い顔をして笑うときは
だいたい弄られるときだと相場は決まってるから
嫌な予感しかしない
「今日の朝のA」
とチコちゃんが見せてきたスマホの画面には
仲良さそうに並んで歩く景瑚くんと…
「…………………めっちゃ王子やん」
「ついに見つけちゃったわけよAさんは
白馬の王子様ってやつを」
ほらほらっとチコちゃんが
画面を横にスライドすれば次から次へと現れる
楽しそうに笑うAの写真
この心臓の奥のモヤモヤがなんて言うかなんて
結構前から気づいているし
なんなら割りと頑張ってる方なんだけど
クソほど鈍感なAは全く
その気配にすら気付かない
画面の中の優しく微笑む王子とやらを
食い入るように見つめる
何度見ても、どこから誰が見ても
「イケメンすぎやん」
「だよね〜
だから取られる前に捕獲しときなよ？」
「それが出来てたら苦労しないんだよなあ」
そりゃそうかと言うチコちゃんが
顔を上げたと同時にAの元に歩いて行く
わしゃわしゃされるAを見て
俺も早くあの位置に行きたいと
チコちゃんにまで嫉妬してしまう、
「友だちのままで…居たくないんやけどな、」
「…拓実くんだけやないからな、そう思ってんの」
「そうそう、でも今は打倒王子で行こうマジで」
ボソッと呟いた独り言のつもりだったのに
それに返事があって驚き横を見ると
汐恩と翔也が同じように
笑顔の中心にいるAを見ていた
「王子のこと知ってたん？」
「さっき景瑚くんがやいやい言いながら教えてくれた」
朝から嫌なもん聞いたわと
あくびをこぼしながら言う汐恩
そうだ俺だけじゃなかった
でも今は翔也の言うとおり、
「ここは一時休戦して打倒王子と行こうか」
「……急にバトル漫画やん」
顔を合わせて笑い合う
こいつらも好きだから、
そのときはどうしようか
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作者名：★★☆ x他1人 | 作成日時：2020年8月13日 22時
