絵に描いたような青春、ください (ページ12)

今日:1 hit、昨日:17 hit、合計:24,024 hit

知らない方が良いことページ12

.

____________

あのあとすぐ本鈴が鳴って先生が入ってきて
ビミョーな雰囲気のまま授業が始まってた

碧海くんとしょーちゃんが
なんとも言い難い表情で
隣の教室に戻っていたのを見送って

ぼーっと窓の外を流れる厚い雲を見てたら
あっという間に50分が過ぎた

考え事してるときの時間の流れは
びっくりするくらい早いんだなあ

男の子ってわからないなあ…

ホームルームも終わり次第に周りも
部活動やら何やらに向かいはじめるなか

「なに考えてるん？」

『んー』

隣の席で突っ伏してた顔だけを上げて
こちらを見ていた拓実くんと目が合った

「さっきのこと？」

『男の子ってわからないなあって
　わたしなんか間違った…？』

「うん、Aとは友だちで居たくない」

『拓実くん…それは泣くやつじゃん』

だから碧海くんもしょーちゃんも
あんな複雑そうな顔してたのかな

みんなずっとそう思ってたってことか

「友だちで居たくないってか、
　友だちだと思われてるのがなんかイヤだ」

ふいに後ろから聞こえてきた声

翔也までそんな…追い討ちを…
わたしのライフはもうゼロよ！！

楽しかったのはわたしだけだったのか…

悲しいのか寂しいのかなんかよくわからない
感情がぐるぐるする

『そういうのって…
　知らない方が良いことの中でも上位じゃない？』

あのちょっとした出来事で
こんな事態になるなんて思わなかった

知りたくなかったよ、こんなこと

はぁ、後ろの方で大きいため息が聞こえたと思ったら
ペチっと頭を叩かれた

「そのまんま受け取んなって、
　ほんまそういうとこな」

『な、』

「よく考えたらわかるやろ
　翔也も言葉足らずなんやって」

どういうこと？
わからなさすぎる、オトコノコムズカシイ

『わからない！』

「なら、言わん」

『なんで！？』

汐恩と翔也にアホだバカだ言われて
拓実くんに笑われて

言い返して笑いあって…ってしてたら

いつの間にか暗い雰囲気なんて無くなって
いつもの空気感に戻っていた

「ホントに世話が焼けるなー」

『なにも解決してないんだけど』

チコちゃんはポンポンとわたしの肩を叩いて
「あんたは何も考えないで笑ってなよ」
なんて言って笑った

『へらへら笑ってたらバカみたいじゃない？』

「みたいちゃうやん、バカやん」

『うるせ！』

.