致命的、〇〇cm。

◇4cm ページ4

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沙織さんにズルズルと引っ張られ、チームの輪へと。

そして、沙織さんに両肩をガシリと掴まれガクガクと揺ぶられる。



「A！？なんでいきなりあんな状況になってるの！？」

「…わかんないです」

「どうしたら清水さんに抱っこされる状況になるの！！」

「あのゴリラが勝手に！」



「「「「「ゴリラ！？！！」」」」」



「ちょっとA！？あの人、男子のキャプテンだよ？とーしーうーえー！アンダスタン？！」

「え、キャプテンですか。あのゴリラが？私、去り際にあっかんべーしちゃいました」

「嘘でしょお………」



沙織さんはガックリと項垂れた。
あのゴリラはキャプテンだったのかあ。



「もういーや、私が後で謝っとく。そのかわり！プレーで礼は返してよね！」

「はあーい」

「ほんっと、ナマイキなんだから」

「それほどでも？」

「褒めてないからね！」



頭をワシャワシャとされる。……犬扱い。



「おい、お前らー。試合始めるぞー！」



眞鍋監督の声によって、私達はラインに並ぶ。コートの向こう側の男子を見ると、巨人しかいなかった。こっわ。なにこれこっわ。


男子の列の端っこを見ると、さっきのゴリラとバチリと目があった。ニヤリと笑われたので、そっぽ向いてやった。



(ああ、…Aの毛が逆だってる…)
(なんで初っ端にたてつく相手が清水さんなの……)
(なにも清水さんじゃなくても……)



と女子の面々に思われていることを、篠宮は知らない。



＊＊＊

《全日本男子side》



その一球で、コートの空気が変わった。


日本バレーの常識が覆された。




「ナーイスA！もう一本頼むよー？」

「も、頭叩かないでー！これ以上縮んだらどうすんですか！」

「チビ宮、チビ宮ー」

「荒木さん！！」

「ほらチビ宮ー、一球ぐらいで気ィ抜くなよ！」

「監督まで止めて！」




チビ宮と称されるコイツ。

篠宮Aは、俺達龍神NIPPONの中に、その名前がインプットされた。



「………今の、ブロックアウト。狙われたよな」

「やっぱそう思う？」



福澤と話しあう。後ろからバックアタックでやってきたはずなのに、ブロックアウトにされた。

その姿が、まるで初めからブロックアウトを狙ってかのようで。

コートの奥で、アイツを盗み見る。


ニヤ、と不敵に笑うのが見えた。



「……あんにゃろ」



おもろいやん。


……絶対負けへん。

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