◇14cm ページ14
．
2日目。今日は基礎中心の練習。
「ね、A。昨日はどうだったの」
ニヤニヤしながら尋ねてくる沙織さん。
「どうって……別に。お話出来たくらいで。私緊張して、あんまり喋れなくて…」
「でも、柳田くん優しいでしょ？流石はプリンスだよねえ」
「はい……//」
昨日はほんとに幸せな時間だった。あんなに憧れてた先輩が、私の隣で喋っている事が夢のようで。ホテルの部屋戻ってから、何回自分の頬をつねったことか。
しかも自主練の約束まで。
「チビ宮！！ブロックちゃんと跳ぶ！」
「はいぃ！」
ブロック練は嫌いだ。自分の身長の足りなさを痛感する。試合でも、必ずと言っていいほど私のブロックは狙われる。
「Aは跳べるんだけどねえ。やっぱ限界があるのかなあ」
「すいません……」
「最高打点、いくつだっけ？」
「最近計って……3m31cm……」
「それだけあれば、私達の中じゃ申し分ないんだけどね。でも……」
分かってる。"世界"が相手なら、ぜんぜん歯が立たない。それはこの間の公式戦で、アメリカと当たった時に、その高さを体感した。
「私、ほんと足手まといですよね……。なんでこんな小さいんだろ」
自分が嫌になってくる。せっかく期待してくれてる人がいるのに、こんなんじゃ話にならない。
「でも、そこは私らでカバーするから！大丈夫だって！」
「そ、ですかね」
「ほらA、とりあえず水分取っといで」
「……はーい」
タオルでゴシゴシと汗を拭く。と、隣で同じく休憩をとっていた人物と目が合う。
「えっと、これ。……いる？こないだのアイスのお詫びじゃないけど……」
「え……いいんですか？」
差し出されたのは塩飴。山内さんはニッコリ笑う。
「あんまり顔色とか良くないし。塩分も取らなきゃ駄目だよ？」
「は、はい。山内さんありがとうごさいます！」
「あ、あと。山内さんは堅いから。なんかアダ名で呼んで」
「アダ名で、ですか。えっとそれじゃ、アッキー先輩。どうですか？」
「アッキー先輩ね、いいよ。じゃあそれで」
「はい、アッキー先輩ありがとうごさいました！」
ヒラヒラと手を振って去る山内さん改め、アッキー先輩。大きいからなんか怖かったけど……。凄く優しい人だ。
「Aー！そろそろ戻っておいでー」
「今行きまーす！！」
アッキー先輩に貰った塩飴を舌で転がしながら、ベンチから立ち上がった。
ほんのり、梅の味。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 603人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏(プロフ) - 高橋優さん» ありがとうございます！最近は更新が停滞してしまって……＞＜ (2017年1月29日 16時) (
レス) id: 158d7772d4 (このIDを非表示/違反報告)
高橋優(プロフ) - 楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2017年1月13日 22時) (レス) id: b132b1eb85 (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - CMYさん» ほんとにほんとに更新出来てなくてすみません！！！！！！受験勉強で時間取れなくて………。ほんっとうに申し訳ないです！応援いつもありがとうございます！！すごく有りがたいです。期待に添えずほんとうに申し訳ないです。なんとか頑張っていきます！！ (2017年1月10日 22時) (レス) id: 158d7772d4 (このIDを非表示/違反報告)
CMY - 復活されてこちらもとっても嬉しい限りです！夏さんのペースで構わないので、これからも更新待ってます！頑張って下さいね！応援しています！！！ (2016年8月24日 12時) (レス) id: 12f3ffde3b (このIDを非表示/違反報告)
夏(プロフ) - CMYさん» 返信遅くてすみませーーんん！！！（泣）実は、テストの点があまり良くなくて、携帯使えなかったんです………。更新また再開していくのでよろしくお願いしますね！！ずっと待っててくださってありがとうございました！！！（泣） (2016年8月23日 16時) (レス) id: 158d7772d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏
作成日時：2016年7月1日 21時
