致命的、〇〇cm。

◇11cm ページ11

.



「……プッ、ちっさ」

「うっさい！！気にしてるんだってば！！」



ガルルル……、と石川祐希を威嚇する。



(小動物……)
(小動物だ)
(小動物にしか見えない…)



「でも、かわいいじゃん」

「へ」

「え」


声のする方を振り向く。



「篠宮ちゃん、小さくたって。そこがかわいいんじゃないの？俺はそう思うけど」

「マサさぁん！？」

「祐希、お前はもう少し篠宮ちゃんに敬意を払おうか。年上なんだろ？」

「うーす…」



しょんぼりする石川祐希。ほほう、あの人には弱いんだな。



「篠宮ちゃん」

「っは、はいぃ！！」

「気にしなくて良いよ。篠宮ちゃんはかわいいから大丈夫だから」



・・・・。


ぼんっ。




「Aーー！！？！」

「篠宮ちゃん倒れたで！？」

「しっかりしてー！！」



ああ、死ねる。幸せです。あの人のその言葉でもう一生分の幸せ貰いました。お母さん、産んでくれてありがとう。



「マサー、お前天然人たらしって言われへんか？」

「人たらし…？」

「ああこれ自覚無いですわ」

「？」



＊＊＊
《柳田side》



「「「ありがとうごさいましたー！！」」」



一日目終了。



「ところで、清水さん。石川君たちは、何でいなかったんですか？」

「ああ、なんかNEXT4の取材が午前中被っとったらしいねん」



遠くでそんな会話が聞こえる。


それよりも、だ。
先ほど倒れた(？)篠宮ちゃんは回復すると、試合で数々のプレーを見せてくれた。驚いた。



"小さくたって、世界と戦う方法はありますから"



まさにその言葉通りだった。

祐希は、マサさんにそっくりなフォームだね、と言うが。俺は、あんなプレーはしない。したことない。



「……なんて正確なブロックアウト」



あの技術の高さは尋常じゃない。そしてあの身長からの高さ。気になる事が山ほどある。



あのブロックアウトの技術は、俺が最近課題にしてた事でもある。あのコツを聞けないだろうか。



「マサさん、目の前」

「ん？」


隣を歩いていた高橋が声をかける。下を向いていた俺は、目の前に気付いていなかった。



「あ、あぁあのぉ………」

「あ」



顔を上げると、顔を真っ赤にした小動物が立っていた。



「マサさん、行ってきていーすっよ。俺、清水さんにちゃんと言っとくんで」

「お、おう。悪いな」

「じゃ、また後で！」



取り残された俺と彼女の間に変な空気が流れる。



「えと、場所移動する？」

「……((コクリ」

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