keep hope alive ２ - 3JSB -

６３. ページ15

、



臣「なぁ、あのおっさん誰なの」






そんな時、

ファイナルを目前に控えたある日の楽屋で、

Aの逆鱗に触れたのは臣だった。






A「あのおっさん……？とは…？」


臣「お前のこと殴ったあいつだよ」


A「…っ、」






どういう意図があって

臣がそう言ったのかはわからない。



けれど 臣の言葉を聞いた瞬間、

Aの顔からサーッと血の気が引いて行って。






A「か…、関係ありません…。みなさんには」






絞り出したような上ずった声に突っかかったのは臣






己「関係ないってなんなの」






ではなく、直己だった。



普段の温厚な直己からは伺えない、

ドスの効いた低い声にその場の空気が

ピリッと引き締まる。






己「何があったかは知らないけど、たくさんの人に迷惑をかけているんだ。俺たちだけじゃない、スタッフの方や、最近劇的にやつれているお前の様子に気づいたファンの方の声がいくつもツイッターに上がってるだろ」


A「…っ、」


己「いい加減周りを見たらどうなんだ。一人の世界に閉じこもってばかりで何もしようとしないじゃないか。一から十まで説明しろと言っているんじゃないんだよ。謝罪ぐらいいれてもいいんじゃないかって言ってるんだ」






直己からの厳しい言葉に 爪が食い込んで

血が出そうなくらいに握り締められた拳と、

ギギ… と奥歯を強く嚙みしめるその表情。



悔しいのか、なんなのか。






A「…っ、」


己「なんとか言えよ」






攻め立てる直己に、周りは何も言わなかった。

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