keep hope alive ２ - 3JSB -

６０. ページ12

、



HR「A、今日はホテルに帰ってゆっくり過ごすといい。幸い、明日はオフだから」






正直、よくわからない。



何が起きたのかも、自分が今どんな感情で

どんな顔をしてHIROさんの言葉を聞いているのか。



いや、ちゃんと聞いているのかすらわからない。






HR「A……、」






控え室に戻ったタイミングで

いきなりドアが開かれて、” あいつ ” が現れて。



そこからは本当に何があったか覚えてなくて、

だけど誰かが私を助けようとしてくれていたのは

薄っすらだけど覚えていなくもない。






A「……」






誰にも見られないように気づかいながら

廊下を進むHIROさんにゆっくりとついていく。



自分の靴のつま先が、右 左 と出されていくのを

ただ呆然と見守る私の腕をふいにHIROさんが掴んだ。






HR「危ないから、」






優しいな、ほんと。



こういうところが、

人から好かれたり尊敬される理由なんだろうな。



彩さんともうまくいっているようだし。



HIROさんたちの間に生まれる子は

きっと愛されて愛されていい子に育つんだろうな。






「A…、」






会場を出るギリギリその時だったと思う。



後ろから聞こえた、聞き慣れた誰かの声。



私を助けてくれた、声だ。






HR「A？いくぞ」






振り向こうとしたけれど、

HIROさんに引かれた手の方が強くて

振り向かずにその場を後にした。

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