17-YG ページ17
どうして、女が。
俺だけではない、全員がそう思った筈だ。
生半可な実力では、入れないことぐらい分かっている。
だけど、認めたくはなかった。
アッサリと認めてしまうのは、何かが違う気がした。
だけど、その俺の気持ちが間違っていただなんて、そんなすぐには気がつくわけもなく。
自分の心臓を揺り動かされて、初めて自覚するのだ。
ヒョンに、聞いてみてくれ、と言われたデモ音源。
全身に電流が走った経験は、これが最初で最後だと信じたい。
メインボーカルのジョングガは当然のこと、歌が上手い。
それは周知の事実だ。
何と言ったって、メインボーカルを名乗るくらいなのだから。
しかし、この声は違った。
表現し難い、実力が感じられた。
YG「..ヒョン、これ、誰のですか?」
「誰って、Aだぞ」
ジョングガの、高い声ではなく。
ジミナの甘い声でもなく。
甘い、透き通ったガラスを鳴らすような。
こんな表現しか出来ない自分が恥ずかしくなるほど。
「そりゃパン社長もスカウトしたくなるよなぁ、あのルックスでダンスもジェリ譲りで、しかもこの声だろ?いやぁすごい子が入ったなぁ」
ルンルンで話すヒョンの言葉なんて、聞こえてこない。
自分の曲を、自分で作りたい。
ずっとそう感じていた俺にとっては、衝撃だったのだ。
YG「...すげえな」
そう、ただ、単純に。
思ったことが、口から溢れた。
「だろ!?俺も最初聞いた時は震えたんだよ〜!今回の新曲、ちょっと音が低いだろ?だから不安だったんだけど、全然問題なく、1発でレコーディングもOK貰えたんだ!」
まるで自分のことのように大喜びするヒョン。
ヒョンは、とっくに、アイツのことを可愛がっているのだな。
「ユンギ、お前は感情に左右されずに、ちゃんと判断できる奴だって知ってるからな」
両肩に手を置かれて、うんうんと頷きながら、そう言われる。
いや、一体、突然何の話だ、
「絶対にいい子だから、何があったら、ユンギが守ってやってくれ」.
YG「ヒョンの頼みなら、仕方ないですね」
「いやぁ、やっぱりお前はいい奴だよ!」
わしわしっと髪を撫でられるのは、嫌じゃない。
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作者名：エヌ | 作成日時：2020年12月31日 16時
