13-TH ページ13
最初聞いた時は、納得なんて出来なかった。
デビューして約1年。
それなりに、僕たちは頑張ってきたはずだった。
そこへ追加メンバー..しかも、女の子だなんて。
まるで、僕たちでは、力不足だと言われているように思えた。
小さな事務所の、非公開メンバーとして、俺自身はある程度は注目を集めたものの、デビューしてから僅かの間だけだった。
3枚、シングルとミニアルバムを出しても、手応えは正直イマイチ。
これからどうすれば、僕たちの音楽を聴いてもらえるのだろうか。
そんな迷いを、微かに抱き始めていた時に現れたのが、あの子だった。
誰が見たって、口を揃えて言うだろう、彼女はとても美しくて、大人の雰囲気を纏っていた。
実力が無ければ、断固拒否しようと思ったのに、その決意は早々に打ち砕かれた。
ジミナのような、しなやかで流れるような動きかと思えば、ホビヒョンのように、一瞬の隙をも許さない動きに、俺は釘付けになった。
この子は、絶対に、僕たちにとって、良い存在になってくれると思った。
だけど、中々話しかけるタイミングが見つからなかった。
「ソクジナ、ナムジュナ。居残り。あ、あとホソガも」
そんな時、振りの練習後、思ってもいなかった自由時間が訪れる。
JK「ヒョン、帰らないんですか?」
TH「俺、ちょっと寄りたいところあるから、先に帰ってていいよ!」
不思議そうに首を傾げるジョングクを他所に、トイレへ行こうと練習室を出る。
TH「あ。ヒョン」
「お、テヒョナ、終わったか?」
TH「ちょうどついさっき終わりました、ヒョンは、これからマンションまで送って行ってくれるんですか?」
「いや、俺はこれから、Aの写真撮影について行くから、お前たちの送りは違う奴が行くぞ」
...そうだ!
TH「ねぇヒョン」
「んー?」
TH「俺も、その撮影、ついて行っていいですか?」
「いいけど..何もすることないぞ?」
TH「ありますっ」
ハテナを浮かべるヒョンを横目に、あの子と話す口実が出来たことに、喜ばずにはいられなかった。
僕には重要な使命があるんだ。
別に、誰かに任されたとかじゃない。
ただ、あの子を、純粋に、知りたかった。
ジェリヌナが保障してるって言うんだ、悪い子な筈がない。
「テヒョナー?一緒に行くんだろー?置いてくぞー」
TH「はーいっ」
俺は慌てて、マネヒョンの背中を追いかけた。
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作者名:エヌ | 作成日時:2020年12月31日 16時