53 僕だけを選んで ページ3
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「ごめん…A」
君にとって、僕はただの友達に過ぎないのに、男として最低なことをした。
「好きなんだ、Aのこと」
それでも、僕のことを見てほしい。僕が君を見るみたいに、僕は君から見つめられてみたい。
『僕の初恋の人はね、名前と顔しかわからない。おまけに何年も前に一度、たった数時間しか会ったことがない人なんだ』
いつかの夜のギョンスヒョンの声と表情が、頭の中で再生された。それは僕を幾分か冷静にさせた。
Aが思い出したいと思ってる男の子は、ギョンスヒョンだよ。必然か偶然か、彼も君にずっと会いたがってたよ。彼はずっと君に心を惹かれていて、君も同じように彼に会いたがっていた。良かったね、両思いも同然だよ。
そう伝えてしまうのは簡単だ。でもそれはきっと、A自身が気付かないといけないことだ。
「返事はまだいらないよ。Aの悩み事が解決したときにでも、答えをきかせてくれればいい」
Aには平等に選んでほしい、これは僕の本気の恋だから。大丈夫。君がギョンスヒョンに出会ったことも、再会したことも運命ならきっと解決する...
それでも君が僕を選んでくれた時は、僕はずっと君を大切にするよ。
「…ありがとう、セフン」
Aはまた僕の目を見てそう言ってくれた。単純な僕の心はそれだけでまた幸せな気持ちになった。
「僕は君からそう言われるのも、昔からたまらなく好きだよ」
A、僕は君を待つから。もし君が僕を選んでくれるなら、その時は僕だけを選んで…。
僕らは照れ隠しをするように少しだけ笑いあって、帰路についた。
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作者名：豆乳 | 作成日時：2018年12月30日 18時
