過ぎ行く夏の日 ページ10
部活動が盛んながっこうだから、夏休み中でも変わらずに登校してくる生徒たち。
自分も彼らと同じく、当たり前のように過ごしてきた日々だけど、変わらないものは無くて。
暑い暑い８月ももう半ば。
あと２週間ほどで２学期が始まるなんて嘘みたいに暑くて。
セミの声も相変わらずに大合唱だ。
立っているだけなのに、こめかみを通った汗のしずくが顎を伝って落ちて、グレーのチームＴシャツに染み込んだ。
インターハイ予選後から進めていた引き継ぎも終わり、今日が最後の部活。
元々、強い学年じゃなかったせいもあり、例年だとウインターカップ予選まで３年生を入れたチームで戦うけど、足の怪我で私が抜けた後は２年生主体のチームとなっていた。
インターハイ予選で優勝を逃した際に、３年生だけで話し合いをした。
このまま部に残ってウインターカップ予選に出場するか、引退するか。
話し合いの間ずっと、まるで空気のようにみんなの意見を聞いていた。
私には選ぶ権利なんかないような気がして。
「Aがいてくれたら…今日だって勝てたかもしれないのに…」
一欠片の悪意も無く発せられたその言葉にも、曖昧に首を傾げただけで。
私はずっとバスケ部にいたよ、なんて子供じみたあげ足取りは言わずに飲み込んだ。
マネージャー業務もろくにこなせない私は、プレー出来なければ、いないのも同然だし。
悩んで、泣いて、３年生全員で出した答えは、引退だった。
「A先輩、ありがとうございました」
練習後に行われた簡単な卒部式。
たくさんの気持ちが所狭しと書き込まれた色紙をもらうと涙があふれた。
お礼を言うのは私の方だよ。
短い期間でしかなかったけど、"キャプテン"でいさせてくれてありがとう。
不甲斐なくてごめんなさい。
うまく言葉にできない思いがポロポロと涙になって溢れてきて、それはゆっくりと周りに伝染していく。
いつしか皆で抱き合って、ぐしゃぐしゃの顔で泣き笑いしていた。
仲間たちとの笑い声も涙も、体育館の匂いも、暗くなった帰り道も、バッシュのスキール音も、何より試合で勝った時の喜びも、どれも当たり前だったのに。
寂しいな。
毎日当たり前にあったものが無くなるって、寂しい。
"当たり前"だったものが、"大切な思い出"に少しずつ形を変えていく。
なんとも言えない喪失感は、切なさに似た痺れを胸の中に残していた。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (
レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか？？ (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください（ ; ; ） (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか？『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいＨＰで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RON | 作成日時：2016年7月27日 22時
