好きまでの距離 ページ9
インターハイ優勝したよ、とニコニコ顔が浮かんできそうなLINEを見て、なんだかふっと笑顔になった。
何気なく付いていた寮の食堂のＴＶはちょうど夕方のニュースの時間で。
全国ネットから地方局に映り変わった瞬間、どアップで画面に映し出されたのは、先ほどLINEをくれたばかりの石川くんだった。
星城男子バレー部のインターハイ２連覇を讃える特集が今日のトップニュースだった。
ぼんやりと画面を見やる中、たまたま後ろにいた後輩女子グループの会話が耳に届いた。
「かっこいいよね、バレー部の先輩達」
「だよね、私リベロの人すごい好きー」
「寮でたまに見れるからラッキーだよね！」
ああ、さすが。
本日もモテていらっしゃる。
「でも、私は絶対に石川先輩！」
えっ！と振り返りそうになったけど慌てて自制した。
振り返って、どうするつもりだというんだろう。
彼女でもないのに烏滸がましく思えて、恥ずかしさに俯いた。
でも、耳だけは背中にくっついたみたいに後輩女子達の声を拾う。
「アンタ、部活紹介の時からそう言ってるよね」
「今、彼女いないって聞いたから今度、連絡先聞いてみよーかな…」
きゃーっと、盛り上がる後輩女子達を尻目に、スマホの画面に目を移す。
石川くんとのトークルーム。
既読のまま返信していなかったそこで、おめでとう、と踊るように指が動いた。
あ、私、今すごい嫌な子かも…。
ふう、と息を吐いて、ＴＶに映る石川くんのインタビューを見る。
言葉短に受け答えする姿も声も紛れもなく石川くんだ。
なのに、どこか遠く感じる。
好きだと言ってくれる石川くんの気持ちは深く心に染み込んでいるのに、彼はいつも両手を広げて私を受け止めようとしてくれているのに。
それなのに素直にそこに飛び込めない。
怖いんだ。
未だに動かない足も、消えない傷も、将来への不安も、全てを受け止めきれたわけじゃない。
杖で歩かなくてはいけない自分を疎ましく思う時も、思いっきりプレーすることのできる女バスのみんなを妬ましく思う時だってある。
こんな自分が惨めでカッコ悪くて、大嫌い。
だから、石川くんを好きだと思う気持ちは確かに心にあるのに、弱い自分に自信が無くて、告白の返事を先延ばしにし続けている。
彼女になっても、私は石川くんにきっと何もしてあげられないから。
わかっているのに、彼を振り払えない私は、ずるくて嫌な子だ。
"好き"って気持ちは、誰にも言えずに未だ心の奥深くに隠したままでいた。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (
レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか？？ (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください（ ; ; ） (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか？『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいＨＰで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RON | 作成日時：2016年7月27日 22時
